「電子工作な日々」カテゴリーアーカイブ

電子工作に関連するお話など・・

RL78/G13にSDカードを繋いでみる

液晶表示で、少し手間取ったけど、ようやく本命のSDカードアクセス。
でも、これは、ChaN さんのソフトウェアーに、おんぶにだっこで、自分の実装する
部分は少ない上に、非常に良く出来たソフトウェアーなので、移植も楽だし、トラブ
ルも少ない。
FatFs 汎用FATファイルシステム モジュール
※今回は、「ff12a」を使った。
RL78/G13は、リソースもそこそこ沢山あるので、最小構成版を使う必要は無
い(pfatfs)ものの、RO領域が限られるので、UTF-8を使う事が出来ない。
この対応は、少し考えたい。
※外部 EEPROM などに、コードページの変換テーブルなどを置く事が考えられる。
※又は、通常のコード領域に配置して、32ビットポインターでアクセスするなど。

以前R8Cで実験した時は、基板にSDカードソケットを直付けしたのだけど、それ
だと、他に流用出来なくなるので、今回は、モジュールにしてみた。
IMG_0809s
IMG_0810s
ヒロセ製のSDソケットは、品質が高く(創りが良い)、これ以外は使いたくないく
らいの出来の良さ。
一応、全ての端子を出してある、又、埃等が入らないように、テープを張ってある。
電源オン、オフのP-ChanelFET、電源LEDなども含めておいた。
電源をオンにした時、かなり大きな電流が流れる、その時の急激な電圧降下を和らげる
目的でフェライトビーズ(470オーム、1000mA)を入れてある。

また、カードのチップセレクト端子や、データアウト端子は、電源OFF時に、「H」
にしていると、そこから、電流が内部に還流するので、電源OFF時は、「0」にする
必要がある。

ChaN さんのプロジェクトを自分のシステムに移植する方法は、簡単で、サンプルにある
「generic」サンプルの「sdmm.c」を参考にする事だと思う、このソースは、クロック信
号、シリアル/パラレル変換を全てソフトで行っているもので、わかり易く、必要最低限
のコードを追加すればよい。
また、全体の機能設定を「ffconf.h」で行ない、「ff.c」をプロジェクトに加える。

IMG_0811s

SDカード・サンプル
このサンプルでは、起動すると、SDカードのルートディレクトリーをリストする。
このサンプルでは、カードをソケットに入れると、マウントを行い、抜くとアンマウント
を行なう。
又、コンソールから、「dir」コマンドを入力する事で、ディレクトリーのリストが行える。

シリアル通信では、SAU0(SO00、SI00、SCK00)を使っている。
それ以外の制御と、カード検出などは以下のポートを利用している。

    typedef device::PORT<device::port_no::P0,  device::bitpos::B0> card_select;	///< カード選択信号
    typedef device::PORT<device::port_no::P0,  device::bitpos::B1> card_power;	///< カード電源制御
    typedef device::PORT<device::port_no::P14, device::bitpos::B6> card_detect;	///< カード検出

※「main.cpp」参照

参考回路と KiCAD のプロジェクトなど:
KiCAD プロジェクト

SDC_sample

RL78/G13でSPI通信、モノクロLCDを表示

I2Cが、何とか動作するようになったので、次はSPI通信。
RL78/G13は、SAU(シリアル・アレイ・ユニット)で、SPI準拠の通信も
扱える(CSIと呼ぶらしい)、これなら、SDカードアクセスを行なっても、アクセ
ス速度が足りないとかは無さそうだし、DMA転送も使えるはず。
※以前にR8CでSPI通信を行なった時は、ソフトウェアーのみで実装した、その時
は、SDカードのアクセスでは、11.05KHzの波形ファイルの再生が限界だった。
一応R8CにもシリアルユニットをSPI通信で使うモードが用意されてはいるものの、
そうすると、シリアル通信が出来なくなってしまう。

RL78/G13では、シリアル・アレイは6チャネルもあり、潤沢に使える。

ただ、CSIを実装していて気がついたが、最高速度は16MHzである上に、それは、
CSI0だけで、他は8MHzが上限のようだ・・
これは、かなり痛い・・
現在UARTには、チャネル0、1を宛てているので、これを、別に宛てて、最高速度
が出せるチャネルは、CSI用にする必要があるようだ・・

それでは、早速、CSI用のマネージャーを作成開始。
UARTと違うのは、UARTでは、基本、送信と受信は全二重(別チャネル)で動く
ので、SAUは2チャンネル必要だけど、CSIでは、1チャネルで、出力、入力を兼
ねる点。

簡単なテストプログラムを作成して、出力をオシロスコープで確認してみたもの、パル
スが出力されない・・・

随分時間をかけて、調べた結果、SAUのデータレジスターの実アドレスだけが、イレ
ギュラーな飛び方をしている事を発見、それを修正したら、SO10から、パルスが出
るようになった。

FFF10H, FFF11H(SDR00), FFF12H, FFF13H(SDR01)
FFF44H, FFF45H(SDR02), FFF46H, FFF47H(SDR03)
FFF48H, FFF49H(SDR10), FFF4AH, FFF4BH(SDR11)
FFF14H, FFF15H(SDR12), FFF16H, FFF17H(SDR13)

※「SO10」は、「SDR02」を使う。

まず、SDカードの前に、もっとも簡単なLCDを繋いでみた。
大型STN液晶モジュール(128x64/SPI) [LCD12864B11-2P]
RAMが潤沢にあるので、128X64のグラフィックスも余裕で扱える~
ビットマップのLCDを高速に、そして柔軟に扱うには、どうしてもフレームバッファ
が不可欠で、表示サイズと同等のメモリーが必要となる。
この場合、1Kバイトの領域が必要。
通常、アプリケーションは、フレームバッファを全クリアして、オブジェクトをメモリ
ー上に描画する、そして、最後の描画が終わったら、全ての内容を、LCDに送る。
こうする事で、柔軟な描画が出来る。
これが、俗に言う「フレームバッファ方式」と呼ぶもので、他の考え方として、書き換
えが起こったら、その領域だけを選択的に書き換える方法があるが、液晶モジュールと
のコマンドのやりとりが複雑になり、書き換える領域が大きいほど、描画時間が多くか
かってしまう、また、書き換えるタイミングも個別に管理しなくてはならない。
フレームバッファ方式の場合、1秒に60回ほどの書き換えが望ましいが、STNの液
晶は、応答が速く無いので、秒間15枚も書き換えれば、十分かもしれない。
この方式は、昔からゲーム機で広く使われている方式。

能書きはこのくらいで~

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先日、Aitendoで購入したLCDは、コントローラーは、「ST7565R」と
あるので、ネットを探して、「ST7565」のドライバーを入手した。
以前にR8Cでも「ST7567」の液晶を扱ったので、その時に書いたドライバーは
あるが、別のソースを精査して、もう一度ドライバーを見直してみた。
※少し、動作が怪しい部分があった為もある。

ソフトを実装して、動かしてみたが、ウンともスンとも動かない・・
SCI関係のバグなのかもと思い、クロックとデータの関係など、色々確認してみたが、
問題無い、悩んだ末、組み立てる前から、基板のコネクターが気になっていたので、良
く調べてみると・・・
何と、ケーブルを差し込む上下が逆になっている・・・
ホームページの写真ではストレートに接続しているが、これでは、機能しない、180
度返さないと接触しない。
IMG_0807s
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とりあえず、動作はしたのだが、非常に後味が悪い・・・
※メールで交換、返品を申し出たのだが、どうなるやら・・

RL78/G13でI2Cを使ってみる

最近アマゾンで、Arduino向けデバイスが格安で入手できる、中華製で、品質は
それなりではあるけれども、値段が恐ろしく安い。(送料も大抵無料)
評価欄で、低評価をしてる人がいて笑ってしまうのだが、こんだけ安くて、何が不満な
のだろうか?
部品を正規ルートで買って組み立てたら10倍以上の値段になるだろうか・・
「当り」、「はずれ」は当然として、不満なら正規品を買えば良いだけの事と思うのだ
が・・
※スイッチサイエンスや、ストロベリーリナックスで、同じような「製品」は入手でき
る、その場合のコストを考えてほしいと思う。

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さて、シリアル入出力は、割り込みにも対応できて、機能的にはとりあえず十分なので
何か外にデバイスを接続したくなる。
RL78/G13には、SAU(シリアル・アレイ・ユニット)を簡易I2Cとして使
う機能があるが、他に、IICA(I2Cアレイ)が1チャネルあり、I2Cの仕様を
全て満足する事が出来るので、当然ながら、こちらを使う事になる。

ハードウェアーマニュアルを読んでも、イマイチ使い方がピンとこなかったが、以前に
R8Cで、I2Cをソフトウェアーだけで実現した経験があったので、それが役立った、
出来上がってみると、R8Cで実装した構成とほぼ同じようになった。
新規のデバイスを使うのは、困難が伴う、I2Cは動作が複雑なのでなおさらだ。
ハードウェアー・マニュアルの不備などに悩まされ、ルネサスさんのサンプルコードも
参考にして、ようやく動作した。
まだ、ポーリング動作なので、遅いI2Cは、割り込みにする必要があるのだけど。
※R8CのソフトウェアーI2Cもフル機能がある。

構成が複雑化してくると、バイナリーが肥大化してきた、これを解消する為、このプロ
ジェクトから、最適化オプション「-O2」を「-Os」とした。
これは、「-O2」から、バイナリサイズが大きくなる可能性のある最適化オプションを取
り除いたもので、サイズはかなり縮小する。
※おおよそ1/4になった。

使ったデバイスは、DS3231で、RTCだ、このモジュールは中華製で、危険なほど
安い!(確か220円とかだった)
このRTCは、OSCの発振周波数が非常に正確なのが特徴で、普通にチップだけ買って
も500円はするが、このモジュールは、バッテリーバックアップ、それにEEPROM
まで付いている。

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DS3231サンプル・プロジェクト

RL78/G13のスタートアップルーチン修正

const 領域の問題が解決したと思って、コンパイラに含む問題は解決されたと
思っていたのだが、何だか、動作が怪しい・・・

少し調べると、クラスの初期化リストが正しく動いていないように感じた。

xxxx.lst を見ながら、xxxx.mot ファイルのバイナリーを色々調査すると、明
らかに呼ばれていない関数がある事が判った。

00004c96 <__GLOBAL__sub_I__Z5wait_v>:

このアドレス「0x00004c96」は、どうやら、「.ctor」に積まれているようだ。

今まで、スタティックに定義したクラスのコンストラクターは、

extern void rl78_run_preinit_array(void);
extern void rl78_run_init_array(void);
extern void rl78_run_fini_array(void);

の3つを走らせれば良いのだと思っていたが、どうやら、「ctor」に積まれた
アドレスもコールしておく必要があるようだ・・

そこで、リンカースクリプトに「ctor」、「dtor」リストのシンボルを追加して、
「start.s」に関数を呼ぶエントリーを追加、「init.c」から呼ぶようにしてみ
た。
※どの順番で呼ぶのか不明なので、ctor を最初に呼ぶようにした。
※ctor、dtor のエントリーアドレスを得る方法が判らないので、シンボル追加。
この「無理やり」な解決方法が合っているか不明ではあるけど・・・

とりあえず、初期化が正しく行われ、正常に動作しているようだ。

まだまだ、スタートアップの方法に問題を含んでいるのかもしれない・・・

ここは、時間が出来たら、もう少し厳密な調査をしたい。

RL78/G13でインターバルタイマーを使ってみる。

RL78も、UARTが動作し始めた事で、佳境に入った感が出て来た。

とりあえず、現在使ってみた感想を述べてみる~
・バイナリーは、R8Cより少なくなる感じではあるけど、基本内部は8ビット構成な
ので、16ビットや32ビットを扱うと、肥大化は免れない。
・ミラー領域のおかげで、64K領域を超えた場合も、ある程度普通に扱う事が出来る。
・32MHzで動作するので、速度面でもかなり有利に感じる。
・RL78/G13は、コアは「S-2」なので、掛け算や割り算命令は無いものの、
外部に「乗除積和算器」があり、コンパイラオプション「-mmul=g13」で、コンパイラ
はこのリソースを使う為、それなりの速度で動作する。
※但し、割り込みルーチン内で使う場合には注意を要すると思われる。
・トータルメモリーのサイズから考えると、コストパフォーマンスに優れている。
・消費電力が非常に小さい。

いつもは、LED点滅の後くらいに、インターバルタイマーを実装するけど、RL78
のインターバルタイマーは、1ユニットで、12ビットレンジ、低速で、シンプルすぎ
るので、イマイチ意欲が沸かなかったが、必要な機能ではあるので、粛々と実装した、
動いた。

ただ、残念なのは、カウンターの値を読み出す事が出来ないので、正確なタイマーを実
装したい場合などに使えない。

単に設定したインターバルを待つだけのものでしか無い。

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ついでなので、ソフトディレイも実装した。
RL78/G13では、32MHz動作なので、より細かい単位も可能だけど、とりあえ
ず良く使うだろう、1uS(1マイクロ秒)単位の関数にした、これは、R8Cと同じ仕
様。
最初、アセンブラは、覚えなくても良いとか言ってたけど、結局、なんだかんだで、覚え
る必要が出てきて、ソフトウェアーマニュアルを読む事になった・・・

void micro_second(uint16_t us)
{    
    while(us > 0) {
        --us;
    }
}

上のようなコードは、最適化(-O2)して、以下のように展開される

(2) decw    0xffef0
(1) movw    ax, 0xffef0
(1) cmpw    ax, #0
(1) skz
(3) br      !!4922 <.L629>

最適化されても、ワークメモリーが使われているが、マシンサイクルから考えると、なる
ほど、ペナルティーは意外と少ない。
RL78のような、アーキュムレーターが基本のCPUでは、レジスターだけに割り振る
コードを出すのは難しいのかもしれない・・
※()内がマシンサイクル

この結果を考慮して、全体で32クロックになるように「nop」命令を置く。

・次のコードで実験してみた。

    while(1) {
        utils::delay::micro_second(10);
        P4.B3 = !P4.B3();
    }

10uS毎にポートを変化させてみた。
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大体合ってる~

インターバルタイマーソースコード

RL78/G13でUARTを使ってみる

暇をみて、I/O関係の定義を粛々と実装しているけど、まずはシリアル通信だろう~
※I/Oポートの定義は実装した。

早速、SAU(シリアル・アレイ・ユニット)の定義を作った。
RXマイコンやR8Cのハードウェアーマニュアルでは、レジスター名の命名は、規則的
で、一貫性があり、作りやすいのだけど、RL78は、一貫性が無く、ハードウェアー
マニュアルと乖離しないように、考えながら実装しないと駄目な感じで疲れる。
※R8Cは、多少古いので、部分的に微妙な部分もあるけど・・

例えば、I/Oポート:
「P1」はP1グループ(P10~P17)を指す。
「P10」は、「P1」ポートの「0」ビットなんだけど・・・
P10グループ(P100~P107)のポートも同時に存在する為、「当たる」・・・
従って、ビット指定の令名はプログラム上から行えない。
なので、「P1.B0」とするようにした、これは、RXやR8Cもそうしているので、
問題ないけど・・、何でそうなるの?、作った人って何考えてるか・・・

I/Oポートでそんな感じだから、他も、かなり酷い、でもまぁ仕方無い、なるべく、
ハードウェアーマニュアルの記述を取り込むように、考えながら実装してみた。

それで、早速UART0を使った、送信、受信のクラスを書いてみた。

RXともR8Cとも違う構成のレジスター郡で、RL78はNEC系なんだと思うが、
理解と動作するまでに、それなりに時間がかかった・・・

文字列を出力する簡単なプログラムが、思ったように動作しない事が主な原因だった。
※この問題は、「RL78のミラー領域」で詳細を解説してある。

とりあえず、ポーリングによる実装のみしてあり、これから、割り込みを使った物や
DMAを使った実装を行いたい。

追記:
割り込みを使った実装を行った、以前に書いた、R8C用のコードをほぼそのまま
使ったが、問題無く動作する。
この辺り、C++は、再利用性が高い、これは、実装段階で、再利用を考えながら
ハードの依存を極力減らして書いている事が大きいのだけど・・・

DMAは、転送量があまり多く無いシリアル通信の為に使うと、もったいない気が
する、SDカードの読み書き、LCDへの転送など、転送量が多いデバイス用に確
保する方が良いと思った、また、DMAでは、結局、同期を取ったり、その他の部
分のマネージメントが色々ありそうなので、とりあえず保留とする事にした。

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RL78内蔵の「シリアル・アレイ・ユニット」は、このデバイスでは、2ユニット
、6チャネルの通信回路が使えて、UART回線なら3回線を同時に使える。

「G13/sau.hpp、common/uart_io.hpp」テンプレートでは、これを扱えるように工夫
してある。
RL78/G13 では、シリアル通信は、偶数チャネルで送信動作、奇数チャネルで受信動
作を行う為、送信チャネル、受信チャネルを別々に指定する。
※制限もあるので、複数チャネルを使う場合には注意が必要。

UART0を宣言する場合は以下のようにする。
※現在は使われていないが、送信バッファと受信バッファの大きさを指定する。

    device::uart_io<device::SAU00, device::SAU01, 128, 128> uart0_io_;

他のチャネルは動作テストはしていないけど、同じように扱う事が出来ると思う。

    device::uart_io<device::SAU02, device::SAU03, 128, 128> uart1_io_;
    device::uart_io<device::SAU10, device::SAU11, 128, 128> uart2_io_;

UART の簡単なテスト

IMG_0800s

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フラッシュへのプログラムと、UARTとの通信では、共に、RxD,TxDなどを
使う、これらの切り替えを出来るように、2回路のスイッチを設けて、書き込み回路
もテスト基板に追加した。
※書き込み器は、デバイスの「/RESET」信号を制御するので、「RTS」信号を必要とす
る。

RL78_Flash_UART

RL78/G13のミラー領域

UARTの実装を行っている過程で、文字列を出力する簡単なプログラムが、思ったよう
に動作しないで、随分悩んだ・・・

調べると、ミラー領域に関する認識が甘かったようで、データフラッシュ領域と当たって
いた事が判った。

8/16ビットマイコンでは、ポインターは16ビットサイズで、基本64キロバイトの
領域しかダイナミックにアクセス出来ない。

RL78では、物理的なメモリー空間は1Mバイト(64Kが16ページ)ある。
プログラム領域は、0番地から始まり、128Kバイト品(R5F100LGAFB)の場合、
0x1FFFFまで使える。

RAM領域は、128キロバイト品の場合、12キロバイトあり、0xFCF00から
始まる。

データフラッシュは128キロバイト品の場合、8キロバイトあり、0xF1000
から0xF2FFFまである。
※64キロバイト品では、半分の4キロバイト

RL78のgccでは、R/Wアクセスする領域は、常に0xF0000~
0xFFFFFをベースとしていて、RAM領域をベースにアクセスするようになって
いる。
ここで問題になるのが、プログラム領域に置かれた読み出し専用データのアクセスとなる。
RL78では、「ミラー領域」を使ってこれを解決していて、RAM領域、
データフラッシュ領域以外は、ROM領域のアクセスと同等となる
仕組みがある。

ここで、以前に修正したリンカースクリプトが問題となった・・・

 .rodata (MAX(__romdatastart + __romdatacopysize, 0x2000)) : {

この「0x2000」のオフセットが何なのか、判ってなかった為、これを無効
(0x0000)としていた・・・
※0x2000の領域が「空く」のは勿体無い・・

当然、「0x0000」にすると、文字列データは、先頭から配置される為、テストして
いたプログラムでは、0x2000以下の領域に配置される、ミラー領域では、このエリ
アは、データフラッシュ領域の為、0xF1000~0xF1FFFがアクセスされてい
た。
それには、途中で気がついて、オフセットを0x2000に戻したが、それでも、直らな
い、良く調べると、128KB品は、データフラッシュが倍の8Kバイトあり、
0xF1000~0xF2FFFまでとなっていた。
そこで、オフセットを「0x3000」とする事で、解決した。

 .rodata (MAX(__romdatastart + __romdatacopysize, 0x3000)) : {

※リンカースクリプトは修正済みでプッシュしてある。

つまり文字列などの固定データは、0x3000以降、0xCF00までに置く必要があ
る。
まぁ、このくらいの領域があれば、当面困る事は無いと思われる。

先頭の空いた領域には、「.lowtext」セクションが割り当ててあるので、ここには、割り込
みルーチンなどを優先的に配置するのが良さそうだと思う。
※割り込みルーチンは、ベクターが16ビット固定なので、必ず64K以内に配置する必要
がある。

また、64K以降のエリアへは、「__far」を使う事で、ポインターを32ビット扱いとして
アクセスする事も出来るが、C++ ではこのキーワードを上手く扱えないようで、悩んでる。
※とりあえず、Cの関数だけで操作するしか無い。

Cの関数宣言では、ポインターが32ビット扱いになり、逆アセンブルリストを観た感じでは
ESレジスター付き20ビットでアクセスするコードになっている。

「コード」の呼び出しは、20ビット対応の「call」命令が使われているので、全域に対して
アクセスでき、64Kの壁を意識する必要は無いようだ。

 12c:   fc be 32 00        call    !!32be <_main>

※コードが64Kを超えて伸びていっても問題は無いと思われる。

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RL78は、Z80のようだと思ったら、実際Z80(78K0)がベースのようだwww

※昔、ゲームボーイのプログラムで、Z80のアセンブラを随分扱ったので、馴染みがある。
でも、32MHzで動くZ80となると、かなり話が違う。

RL78/G13スタートアップルーチンと起動テスト

フラッシュへの書き込みプログラムを先に作ろうと思ったけど、まず、動かしてみない
事には始まらない~

gcc はビルドしてあるので、スタートアップルーチンを作って起動するまでの道を作る。

(1)まず、リンカースクリプトを精査する。

/usr/local/rl78-elf/rl78-elf/lib/rl78.ld

を雛形にして改造すれば良さそうだ~
※標準のリンカースクリプトは、RL78/G13 (Flash:64K / RAM:4K) 仕様のようだ。
このリンカースクリプトを参考に、4つのデバイス用を作成
※オリジナルでは、0x0000 ~ 0x1FFF までは、開発用のブート領域のようで、使わない
ので、それを無効にした。

    .rodata (MAX(__romdatastart + __romdatacopysize, 0x2000)) : {

    .rodata (MAX(__romdatastart + __romdatacopysize, 0x0000)) : {

追記:
この0x2000は、ミラー領域内で、データフラッシュ領域をバイパスするオフセットで、
重要な事が判明、又、128KB、256KB品では、データフラッシュ領域は、倍なので、
オフセットを0x3000にする必要がある・・

※「ミラー領域」の事が良く判ってなかった・・・

また、ハードウェアーベクターセクションに多少の問題がある。

  .vec :
  {
    *(.vec)
  } > VEC

通常、ハードウェアーベクターはソフトウェアーからは参照されないので、何もしないと、
最適化で、省かれてしまう・・・

  .vec :
  {
    KEEP(*(.vec))
  } > VEC

そこで、「KEEP」キーワードで囲む必要がある。
※「ivec」(割り込みベクターテーブル)も同じ。

また、各種デバイス用に、ROM、RAM の開始アドレス、長さなど設定して、4つのデバイス用
リンカースクリプトを作成した。

R5F100LCAFB:   32K (0x00000 - 0x07FFF) /  2K (0xFF700 - 0xFFEFF) / 4K (0xF1000 - 0xF1FFF)
R5F100LEAFB:   64K (0x00000 - 0x0FFFF) /  4K (0xFEF00 - 0xFFEFF) / 4K (0xF1000 - 0xF1FFF)
R5F100LGAFB:  128K (0x00000 - 0x1FFFF) / 12K (0xFCF00 - 0xFFEFF) / 8K (0xF1000 - 0xF2FFF)
R5F100LJAFB:  256K (0x00000 - 0x3FFFF) / 20K (0xFAF00 - 0xFFEFF) / 8K (0xF1000 - 0xF2FFF)

RL78/G13リンカースクリプト
※データフラッシュ領域は記述が無いので、何らかの対応を行う必要があると思う。

(2)次にスタートアップルーチン
今までは、独自に、スタックをセットするとか、アセンブラで書いたのだけど、ライブラリー
に含まれる標準のスタートアップオブジェクト「crt0.o」を、objdump でアセンブルソースを
出力して、参考にする方法が確実で簡単な事が判った。

rl78-elf-objdump -h -S crt0.o > crt0.lst

※これなら、まねるだけなので、アセンブラを詳細に理解する必要がほぼ無い。
※最低限の知識は必要だが、手本があれば、非常に簡単だ。
「crt0.o」は、以下の構成のようだ。

・ハードウェアースタックの設定
※スタックの開始アドレスは、リンカースクリプトで指定されたラベルを使う、また、
スタックの深さは、リンカースクリプトで指示する。(通常は、RAM 領域の最後から取る)
・ROM 領域から RAM 領域への転送
※定数などを読み書き可能な変数として設定している場合は、変数はRAM上に配置されるの
で、初期値をコピーしておく必要がある。
・.bss セクションのクリア
・C++ コンストラクター呼び出し
※rl78_run_preinit_array()、rl78_run_init_array()、rl78_run_fini_array()
※C++ では、main が始まる前にコンストラクターを走らせて、初期化しておく必要性がある。
・init 関数呼び出し
・main 関数呼び出し
・exit 関数呼び出し

とりあえず、適等に切り貼りして、「start.s」を作成。
呼び出し部は、「init.c」で実行。
最後に、リセットベクターに、start.sの開始アドレスを指示する必要がある。「vect.c」

const void* vec_[] __attribute__ ((section (".vec"))) = {
    start,
};

これで、全て準備が整った、後は、自分のプログラムをコンパイルして、先に作ったプログラムを
リンクするだけで起動するはず。

-nostartfiles    ----->    標準のスタートファイルを使わない
-T xxxxx    ----->    xxxxx のリンカースクリプトを使う

リンカーオプションでは、以上の二つが重要となる。

(3)LED点滅を書いて、実行してみる・・
以上で、main 関数が実行される準備が整った。
今回、LEDを接続するポートとして、P43を使った。
最初、LEDは点灯したままだったが、無効ループが短すぎたようだ、そこで、以下のように無効
ループの回数を増やした。
※「int」型は16ビットなので、「uint32_t」を使った。

int main(int argc, char* argv[])
{
    device::PM4.B3 = 0;  // output

    bool f = false;
    while(1) {
        for(uint32_t i = 0; i < 100000; ++i) {
	    asm("nop");
        }
        device::P4.B3 = f;
        f = !f;
    }
}

※無効ループ内では、「asm("nop")」を実行する、そうしないと最適化で、ループ自体が無くな
ってしまう。

これで、無事にLEDの点滅まで出来た。

プロジェクト全体のソースコードは、GitHub に全てある、

  cd FIRST_test
  make

で、実行バイナリー、「first_sample.mot」が出来るので、これを、「Flash Programmer」でデバイス
に書き込む。
※書き込み後、リセットが有効になっているので、書き込み機のリセットラインをオフラインにする
必要がある。

IMG_0798s

RL78を始める~ gcc の構築から~

R8C/M120 は確かにコスパが高く、パッケージも手頃で、良いのだけど、RAM容量が少なく、もう少しだけリッチなマイコンが欲しいと思っていたのだった・・・
※メモリーはせめて2Kバイトくらいは欲しい、128×64のビットマップLCDとかを扱う場合、フレームメモリーで1Kバイト消費するし、SDカードでファイルを扱う場合も、バッファ
がある程度必要だし・・

現在の自分の環境では、R8C の上位は、いきなり RX になってしまう、まぁそれはそれで良いのかもしれないけど、RX では高機能過ぎるし、デバイスが少しコスト高なので、AVR 328 くらいのデバイスも扱えれば良いなぁーって思っていた。

R8C/M120 の上位を使えば、もう少し話は早いけど、R8C 系は、既に古いデバイスで、上位のデバイスは割安感が無い、そこで、やはりと言うか、RL78 に落ち着く訳だけど、値段、デバイスの種類、機能など、バランスが良い事に改めて気づく。
ただ、自作で使っている人は少ないのか、製作記時は少ないようだ・・
※パッケージが基本、フラットパッケージのみなので敬遠されているのかもしれない。

何故、ARM を選択しないのかと思うかもしれないが、日本人だからルネサスを使うだけの事で、少し意地になっているかもしれないけど、ルネサスのラインナップは豊富だし、入手性も良く、値段もこなれていて安定している、マニュアルも日本語なので、開発のハードルは低いと感じている。
逆に、「日本人」なのに、何故海外製のマイコンに走るのか、聞いてみたい。
※ AVR は随分使ったけど、マイクロチップに買収されてしまったしなぁ・・

RL78 のラインナップは凄まじく多くて、どれを使うか非常に迷うけど、入手性と値段で、「G13」グループをとりあえず選択してみた。
「秋月電子」で安く購入出来る。

プログラムフラッシュ/RAM/データフラッシュ
・R5F100LCAFB:  32K/ 2K/4K @250円
・R5F100LEAFB:  64K/ 4K/4K @290円
・R5F100LGAFB: 128K/12K/8K @340円
・R5F100LJAFB: 256K/20K/8K @400円
・R5F100LGAFB搭載変換モジュール     @420円

早速、290円、340円を数個購入してみた、後で気がついたけど、340円のデバイスが、変換基板にハンダ付けされたタイプが420円で売られていた、これは安い!
※0.5mmピッチのハンダ付けはコツがいるので、自信の無い人は、モジュールを選べば良いだろう~
IMG_0795s
※変換基板にピンを立てて、ソケット化すると、交換が出来て便利ではあるけど、ソケットのコストが痛いので、このような安いデバイスは、直で、ユニバーサル基板に乗せている。

まず gcc を構築してみた、以前に R8C、RX で行った方法がそのまま使える。
※ gcc-4.9.3 を使った。
詳しい方法は、以下のリンクを参照して欲しい。
My GitHub RL78

次に、フラッシュプログラミング環境を整える。
最初、シリアルポートで簡単に接続出来ると思ったのだが、ドキュメントを読むと、多少の付加回路が必要な事が判った。
RL78 には、プログラミング時の専用端子「TOOL0」があり、「/RESET」のタイミングで、通信を行う事で、プログラミングモードに移行する。
※通常動作では、抵抗を介してプルダウンしておく。

・「ルネサスの参考回路」
リンクの参考回路(タイプB)では、トライステートバッファ(オープンドレインゲートとして利用)と、インバーターを使っている、少し考えて、トライステートをダイオードで置き換え、
インバーターをNチャネルのFETで置き換え、簡易回路を作成してみた。
RL78_FlashProgrammer
※自分が使った部品は、3.3V~5Vの環境に対応している、電圧降下が少ないショットキーダイオードを使ったが、リークの少ない物を使用している。
※/RESET のプルアップ抵抗は、デバイスに直接取り付けてあるので、省く。

※同じような変換回路を既に製作していた~ 「簡易UART書き込み器」

RL78/G13のデバイスは電源が少なくて、配線が楽だ!
・Vss、Vdd、EVss、EVddに0.1uFのパスコンを付け電源に接続する。
・REGCは0.47~1uFのコンデンサでVssに接続する。
※1uFを選択した。

IMG_0796s

とりあえず、「ルネサスの Flash Programmer 」と接続して、認識できる事を確認出来た。
※3.3Vの電源を接続

今回はここまで・・
次は、書き込みプログラムを実装してみようと思う。(MacBook で使いたい!)

俺俺 RX マイコンボードを作ろう!(その2)

以前、RX630Nで始めた、RXマイコンボード開発・・
途中、R8Cに注力してた事もあり、頓挫してました。
それと、例のピッチがズレた、秋月製、変換ボードの事もあり、あやふやな状態になっていました・・・
IMG_0665s

そんなこんなで、気分をリセットして、もう一度始めようかと思ってたら、RX64Mがオンライ
ンになっていました。
「RX71M」を待つってゆー選択もアリですがー、そんな事言ってたら、いつまでたっても始ま
らないのは明白なので、賞味期限が切れないうちにチャッチャと始めようと思います。

RX64M、2Mバイトフラッシュ版は、チップ1ストップで、2000円くらいです。
それに、内臓RAMは512Kバイト(+32K+8K)もあり、120MHz動作で、RXv2
コアで、パフォーマンスが高いです~
値段は、RX63Nに比べると少しは高いのですが、色々考えた末、RX64Mで作りなおす事に
しました。
IMG_0784s
※10個買うと、@1600円で、送料無料なので、10個買いました・・
※10個なら、トレイに入ってくると思ったので、それも動機になってます。
※チップ単体で欲しい方は、実費でお分けします。(1600+消費税+送料)

そして、変換基板は、アイテムラボさんの基板を使ってみました。
この基板、490円で、安くて、品質が高いです、169ピンでも極限まで小さくしているのも
良いです!
※送料が無料になるオーバー3000円分、他の基板も色々買ってしまいました。

いつも多少苦労する、0.5mmピッチのハンダ付け、今まで、大きな失敗は無いですが、視力
が落ちている事もあり、失敗すると、チップも変換基板も無駄になるのでストレスがかかる作業
です。
やり方は色々だと思いますが、自分の方法を簡単に書いておきます。
・最初に、チップを正確にパッドに乗せて、ルーペで良く観て、少しでもズレていたら妥協せず、
確実に中心に置く。
・プリント基板用フラックスをまんべんなく端子に塗り、とりあえず、1ピンだけハンダ付け。
・その状態でズレがないか再度確認。
・対角線上のもう1ピンを半田付け。(2点付けると、もうやり直しはほとんど出来ないので注意)
・隅の8点を、付けて、全体をハンダ付けしていく。(ハンダが多すぎるとブリッジするので、
少なめに、足りない場合は、少しコテ先にハンダを乗せて、塗ったフラックスに頼って流す感じ)
・ブリッジしたら、フラックスを塗って、コテ先で、こするように再加熱すると、意外と綺麗に
取れる。(パッケージの根元のピンにコテ先が触れて、ブリッジすると取れにくいので注意)
・それでも、ブリッジが取れない場合は、吸い取り腺を使うが、少しだけ呼び水的にハンダを
吸い取り腺にも溶かしておくと良い。
・吸い取り腺でハンダを除く場合、限度を超えて長い時間熱しないように注意する。
・ルーペで斜めから確認して、パッドと、ピンの「きわ」にハンダが流れているかを3度くらい
確認。
・もし「怪しい」ピンを見つけたら、フラックスを塗って、再度ハンダを流す。
・全て確認して、大丈夫と思ったら、パーツクリーナーなどで洗浄して、エアーダスターで、
ゴミなどを飛ばす。
・最後に、綺麗になった基板を、もう一度ルーペで確認して、問題無ければ終了!

IMG_0786s

この基板は、スルホールが裏にあるので、基板を直付けする場合、ショートするかもしれない
ので、絶縁しておきます。
最近は、ピンヘッダーは使わなくなっています、意外とコストがかかるのと、外して、別基板
で使う可能性が低い事(新規にデバイスを付けた方が安上がり)、高さが邪魔になるとか、色
々な事を考えて、大きい基板に直付けしています。

と、ゆー事で、今回はここまで。