「電子工作な日々」カテゴリーアーカイブ

電子工作に関連するお話など・・

R8C/M11A、M12Aの秘密

M11A、M12Aについて~

低価格なマイコンと言えば、AVRですが、ルネサスにも、CPの高いマイコンがあります。
それは、R8Cマイコンで、R8C/M12A/M11Aです。
「@100円、確かに安いけど、AVRもあるし、PICもあるしで、そんなにインパクト無いけどーー」と言いたくなるかもしれませんが・・
このマイコン、裏事情があって、表向きは
・プログラムメモリ(フラッシュ):2KB
・RAM:256バイト
となっていますが、実際には、
・プログラムメモリ(フラッシュ):32KB
・RAM:1280バイト
時代に逆行するアセンブラ屋さんの調査による。

これが、現在出回っているデバイスでも有効に出来るのなら、今までの常識が一遍しそうです。

AVRのATTiny2313は、安くて使いやすいマイコンですが、A/Dコンバーターが無いのが痛いとこです。
最近秋月の価格を観ると@150になっていますね・・

M12Aの場合は:
・最大20MHz動作(2.7V以上)
・1.8V~5.5V動作
・入出力ポート:17本 (LED駆動用ポート含む)
・外部割り込み入力:8本
・16ビット多機能タイマ(タイマRJ2):1
・8ビットプリスケーラ付8ビット多機能タイマ(タイマRB2):1
・16ビットインプットキャプチャ/アウトプットコンペアタイマ(タイマRC):1
・UART/クロック同期形シリアルインタフェース:1チャネル
・10ビットA/Dコンバータ:6チャネル
・コンパレータ:2回路
・ウォッチドッグタイマ
・クロック発生回路:XINクロック発振回路、オンチップオシレータ(高速/低速)
この充実ぶりです・・

この機能と、プログラムエリア32Kバイト、RAMエリア1280バイトとなると、かなりの用途にマッチします。


フラッシュの書き込みボードの作成

・配線は、ハードウェアーマニュアルに詳しく書かれていますので参考にして下さい。
・フラッシュ書き込みモードで電源投入後、FDTとの接続が時間内に無いと、接続出来なくなるので、「リセットスイッチ」は必要です。
・フラッシュの書き込みは、3.3Vでも行えるようです。
このDIPタイプは、シリアルインターフェースで接続出来る為、非常に手軽に書き込みが行えます。
IMG_0705

購入したデバイス
デバイスの表記では(下に書かれているのはロット番号と思います)


 M120AN
0432N01

 M110AN
0432N01

となっていました。


書き込みソフトのインストールと設定ファイルの修正

書き込みソフトは、FDT4.09 を使います。
インストール後、以下の設定ファイルを書き換えます。(Windows7 64 ビットの環境です)

/c/Program Files (x86)/Renesas/FDT4.09/kernels/ProtD/R5F2M110A/Renesas/1_0_00/R5F2M110A.fcf
/c/Program Files (x86)/Renesas/FDT4.09/kernels/ProtD/R5F2M120A/Renesas/1_0_00/R5F2M120A.fcf

「R5F2M110A.fcf」の修正箇所

[Header]
Description = Flash Development Toolkit Configuration File
File Type = 2.1

[Device Info]
EVB Name = R5F2M110A
EVB Kernel Suffix = R5F2M110A

...

FLASH ROM Size = 32768

...

Secret Flash Memory = 
Erase Block Count = 10
Memory Area Count = 2
Reserved Area Count = 0

...

[Erase Block 2]
Block Name = EB8
Start Address = 32768
Start (Hex) = 0x00008000
Block Size = 4096
Size (Hex) = 0x00001000
EBR0 = 0
EBR1 = 0
EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

[Erase Block 3]
Block Name = EB7
Start Address = 36864
Start (Hex) = 0x00009000
Block Size = 4096
Size (Hex) = 0x00001000
EBR0 = 0
EBR1 = 0
EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

[Erase Block 4]
Block Name = EB6
Start Address = 40960
Start (Hex) = 0x0000A000
Block Size = 4096
Size (Hex) = 0x00001000
EBR0 = 0
EBR1 = 0
EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

[Erase Block 5]
Block Name = EB5
Start Address = 45056
Start (Hex) = 0x0000B000
Block Size = 4096
Size (Hex) = 0x00001000
EBR0 = 0
EBR1 = 0
EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

[Erase Block 6]
Block Name = EB4
Start Address = 49152
Start (Hex) = 0x0000C000
Block Size = 4096
Size (Hex) = 0x00001000
EBR0 = 0
EBR1 = 0
EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

[Erase Block 7]
Block Name = EB3
Start Address = 53248
Start (Hex) = 0x0000D000
Block Size = 4096
Size (Hex) = 0x00001000
EBR0 = 0
EBR1 = 0
EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

[Erase Block 8]
Block Name = EB2
Start Address = 57344
Start (Hex) = 0x0000E000
Block Size = 4096
Size (Hex) = 0x00001000
EBR0 = 0
EBR1 = 0
EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

[Erase Block 9]
Block Name = EB1
Start Address = 61440
Start (Hex) = 0x0000F000
Block Size = 4096
Size (Hex) = 0x00001000
EBR0 = 0
EBR1 = 0
EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

[Memory Area 0]
Block Name = UA0
Start Address = 32768
Start (Hex) = 0x00008000
Block Size = 32768
Size (Hex) = 0x00008000
Area Type = User Flash
Overlay = 0

...

「R5F2M120A.fcf」の修正箇所

[Header]
Description = Flash Development Toolkit Configuration File
File Type = 2.1

[Device Info]
EVB Name = R5F2M120A
EVB Kernel Suffix = R5F2M120A

...
 
FLASH ROM Size = 32768

...

Secret Flash Memory = 
Erase Block Count = 10
Memory Area Count = 2
Reserved Area Count = 0

...

[Erase Block 2]
 Block Name = EB8
 Start Address = 32768
 Start (Hex) = 0x00008000
 Block Size = 4096
 Size (Hex) = 0x00001000
 EBR0 = 0
 EBR1 = 0
 EBR2 = 0
 Overlay = 0
 Lockable = False

 [Erase Block 3]
 Block Name = EB7
 Start Address = 36864
 Start (Hex) = 0x00009000
 Block Size = 4096
 Size (Hex) = 0x00001000
 EBR0 = 0
 EBR1 = 0
 EBR2 = 0
Overlay = 0
Lockable = False

 [Erase Block 4]
 Block Name = EB6
 Start Address = 40960
 Start (Hex) = 0x0000A000
 Block Size = 4096
 Size (Hex) = 0x00001000
 EBR0 = 0
 EBR1 = 0
 EBR2 = 0
 Overlay = 0
 Lockable = False

 [Erase Block 5]
 Block Name = EB5
 Start Address = 45056
 Start (Hex) = 0x0000B000
 Block Size = 4096
 Size (Hex) = 0x00001000
 EBR0 = 0
 EBR1 = 0
 EBR2 = 0
 Overlay = 0
 Lockable = False

 [Erase Block 6]
 Block Name = EB4
 Start Address = 49152
 Start (Hex) = 0x0000C000
 Block Size = 4096
 Size (Hex) = 0x00001000
 EBR0 = 0
 EBR1 = 0
 EBR2 = 0
 Overlay = 0
 Lockable = False

 [Erase Block 7]
 Block Name = EB3
 Start Address = 53248
 Start (Hex) = 0x0000D000
 Block Size = 4096
 Size (Hex) = 0x00001000
 EBR0 = 0
 EBR1 = 0
 EBR2 = 0
 Overlay = 0
 Lockable = False

 [Erase Block 8]
 Block Name = EB2
 Start Address = 57344
 Start (Hex) = 0x0000E000
 Block Size = 4096
 Size (Hex) = 0x00001000
 EBR0 = 0
 EBR1 = 0
 EBR2 = 0
 Overlay = 0
 Lockable = False

 [Erase Block 9]
 Block Name = EB1
 Start Address = 61440
 Start (Hex) = 0x0000F000
 Block Size = 4096
 Size (Hex) = 0x00001000
 EBR0 = 0
 EBR1 = 0
 EBR2 = 0
 Overlay = 0
 Lockable = False

[Memory Area 0]
 Block Name = UA0
 Start Address = 32768
 Start (Hex) = 0x00008000
 Block Size = 32768
 Size (Hex) = 0x00008000
 Area Type = User Flash
 Overlay = 0

書き込みプロジェクトの設定

・デバイスを指定する際、チェックサムが合わない為、警告が出ますが、そのまま進みます。
・とりあえずこの修正で、32Kまでプログラムメモリーが使えると思います。
※MSYS のコンソールから、emacs でファイルを直接編集したのですが、パーミッションの関係で、実際には更新されない事が判りました。
エクスプローラーなどで、編集後のファイルを上書き保存する必要があります。(その際、警告のダイアログが出ます)


謝辞

・「時代に逆行するアセンブラ屋」さんの「toida」さんには、設定内容などお世話になりました。

・M110AN 設定ファイル
・M120AN 設定ファイル

ウィンカーの LED 化(その1)

前から改造してみたかった、ウインカーのLED化を行っている。

まず、電球をLED化する、球切れの心配が無くなり、消費電力が減る。
それとLEDは、点灯、消灯がハッキリしていて視認性も良くなるのではと思う。

改造したバイクはヤマハのWR250Xモタードで、標準的には10Wの電球が付いていた。
IMG_0679s
ポジションは無く、1灯式バルブ。
※LED化する事でウィンカーリレーも自作するので、ポジションランプ機能も加えようと思う。

口金は「BA15s」と言うタイプで、ピンが水平に出ている。
※千石電商で購入

自作する場合に考えなくてはならない事は、以下のような点・・
・頑丈で、振動などで、点灯不良にならない構造。(接着剤での接着などを極力避ける)
・最低でも4個は必要なので、作りやすさ、同じ物が作れる(再現性の確保)事。
・売っているLEDバルブには無い機能と性能など。

以上のような点だろうか・・

最初に問題となるのは、口金にLEDをどのように固定するか?
そこで、以前に自動車の車内を照らすシーリングライトをLED化した時の手法を応用した。
まず、口金にユニバーサル基板をピッタリサイズで切り出し差し込む、この時、スルホールが、口金の金属と近くなるようにする。
基板には、垂直に基板を固定する為のボスを作っておく。
IMG_0676s

基板を中に入れて、スルホールにハンダを流し、口金の金属部分にもハンダを流して固定する。
※それなりにハンダを流し込めば、ある程度の強度は確保出来ると思う。
IMG_0678s

蓋をするように基板を切り出す、大体円になるように基板を削る、中心も、先ほどの基板のボスが入るようにリューターで削る。
※10Wの電球は外形19mmくらいなので、それ以下の大きさにする。
IMG_0680s

IMG_0681s

さて、LEDはどのような物を選ぶのが良いか?、何個くらいを並列にするか?

LEDの性能は、日進月歩で、日増しに効率が高くなっている為、「使いたい時にまとめて買う!」のが良いと思う。
今回選択したのは、このLED「OSWX4EZ4E1P」リンクは秋月のものだが、適当なLED屋さんでまとめて買った方が安いと思う(自分は千石の手前のLED専門ショップで50個1000円で買った)

このLEDは、3個の白色LEDが直列になっていて、90mAまで電流が流せる、その場合30ルーメンと言う明るさ。
LEDは、 全ての範囲で電流と明るさが比例するわけではなく、効率の良い電流値があるものだ、その電流なら、発熱も少ない。
今回は実験して、10Wの電球との明るさの違いなどを調べ、1個辺り、約20mA~30mA程度にし、全部で9個を使う(大体全体で200ルーメン程度だと思う)のが丁度良いと思った。
※LEDを並列にして使うので、特性が揃っている必要がある為、同じロットの物を選ぶ必要がある。
※それでも10Wの電球よりかなり明るい。
※ある程度数を多くして分散させた方が、光が集中しないで電球と同じように拡散させる事が出来る。

IMG_0683s
実験用として作ったLEDアレイ

LEDに流れる電流の制限抵抗は、以下のように計算した。

・電源の電圧を13Vとする。
※LED保護と汎用性を考えて、ショットキーダイオードによるブリッジを組む、こうすると、極性が事実上無くなるので、扱いが楽になる。
・ショットキーダイオードの順方向電圧降下を0.4Vとする。
・LEDのVFを3.1Vとする。

25mAの電流を流すには?

13-0.4×2-3.1×3 / (25mA×9) = 13オーム

※適当な抵抗が無かったので47オームを4本並列とした。

まず、下の列、5個を直線で繋ぎ~
IMG_0684s

適当に曲げて五角形にする。
IMG_0685s

それを、口金のベースに並べて端子をハンダ付け。
IMG_0686s

最後に正面用アレイ:
まず、2個のLED、サイドを斜めに削って、斜めに密着させる。
IMG_0687s

それを2組作り、やはりサイドを斜めに削り、密着させて4個のアレイにする。

それを、上に載せて隙間からハンダを流して接続、出来上がり~
IMG_0689s
※順番を考えながら、ショートに注意して組み立てる、失敗すると修正が大変なので注意。
※4隅の角を少し削って19mmの直径に収まるようにする。

やっと1個出来た・・・、あと3個、とりあえず今日はここまで。

俺俺 RX マイコンボードを作ろう!(その1)

最近は、フルタイムで仕事をしている関係で、趣味の時間が凄く制限されていたのだが、仕事もだいぶ安定してきて、趣味の時間を持てるようになってきた。
それと、「この暑さ」、休みの多くは、ファミレスにノートを持ち込んで、主にソフトの制作などを行っていた。
最近、少し暑さも和らいだので、ハードの作業もしようかと思案していたら、秋月で良い物を見つけた。

128Mbits SDRAM 133MHz
まぁ、別にそんな珍しい物でも無いけど、デバイスを単体で扱っているのは珍しい、数個単位で買えるのはありがたい。
※多分、秋月で、SDRAMが乗ったマイコンボードでも出るのだと思う。

そして、マルツパーツで 176ピン、フラットパッケージ版 RX63N が単体で買える事が判ったのが最後の一押しとなった。

「176ピン、フラットパッケージ」は重要。
・0.5mm ピッチなので、ギリギリ、手ハンダができる。
・32ビットバスでSDRAMを接続出来る。(フルスピードで動かしても、性能があまり落ちない)
・内蔵 RTC のバックアップが出来る。
・外部バスを使っても、残りの空いたピンはかなり潤沢で、色々活用出来る。

そして、前から、RX マイコンの大容量メモリーを積んだボードが欲しかった。
・開発の効率などを考えると、プログラムをRAMに転送して実行したい。
・RX マイコン用の LLVM を作ってみたい、それには、ある程度メモリーが潤沢に使えるボードが必要。
・組み込み機器でも、メモリーが潤沢に使える環境が欲しい。
※大容量メモリーが無いと、画像ファイルなどを扱うのが難しい。
・PC 用フレームワークのソースコードをそのまま利用したい。
・安いボードじゃないと、色々な物に使う気になれない。
※「なひたふ」さんとこで、究極の RX62N ボードを扱っているのだけど、値段が高くて手が出せない。
※構成的には、同じようなものになってしまうのだけど・・・

他にも色々な動機がある〜

もうそろそろ、RX64M シリーズが流通しそうな感じなのだが、KiCAD を使ってボードも作ってみたかったので、汎用的で、応用が効く俺俺ボードを自分で作ってみる事にした。

とりあえず、構成はこんな感じにする予定〜
・RX63N(R5F563NEDDFC#V0)176 ピンパッケージ(内蔵、256K RAM、2048K Flash)
・内蔵 RTC 用外部バッテリーバックアップ
・128M ビット SDRAM x 2、32ビットバス接続(32Mバイト)
・10/100 インサーネット(PHY層: LAN8720AI)※別モジュールにするかも・・
・マイクロSDカードインターフェース
・リチウムイオン/ポリマー、充電コントローラーと DC/DC コンバーター
・A/D 入力用バッファアンプと電圧リファレンスなど
・オーディオインターフェース(VS1053B)
・USB インターフェース(2チャンネル分)
・未使用ポート用ピンヘッダー
・J-TAGコネクター
ちょっと盛り過ぎな感じもするのだが、使わない物は載せなければ良いと思うので・・・
※完成したら、ボード単体で販売する予定(時価)だが、欲しい人は少ないかもしれないねwww
※SDRAM は、@300なので、2個載せても600円、しかも32Mバイトの空間を使えるのは便利

そもそも、R-PiやBBBが5千円くらいで買える現実を考えると、0.1GHz程度のマイコンなんてと思うのだが、OSが無く、電源投入で、いきなりアプリを動かせ、電源をいきなり切れるような、組み込みの用途は必要だと感じているし、0.1GHzで十分な用途はけっこう多い。
またLinuxベースで、ハードウェアーに依存した細かい制御を書くのは、面倒でもあるし、リアルタイム的な制御が難しい場合もある。
※内蔵カウンターを使ったタイマーや、PWM 出力、割り込み制御など。

別の動機として、販売されている組み込み用ワンボードマイコンが高価過ぎるのも問題と思う。
趣味では無く、会社の形態として販売する場合、あのような値段になる事は理解出来るので、自分で作るしか無い。
イニシャルコストはかかるのだが、3枚、同じボードを使う事を考えたら、作った方が安い事になる。
※この場合、制作に関わる人件費を計上してないのだけどwww

まず、マルツパーツで、R5F563NEDDFC#V0(RX63N, Flash: 2MB, RAM: 128K) を注文した、1912円もしたけど、数個単位で買えるのはありがたい。
数日で、物は届いたのだが、梱包が微妙、足が曲がっている感じがする・・・
とりあえず、交換の手配をメールで問い合わせたのだが、写真を送って欲しいとある。
0.5mm ピッチだと、ルーペで拡大しても、何とも言えないのだが、梱包のやり方に難があるように思う。

IMG_0658s

導電スポンジにチップを載せた状態で、ラップして内部の空気を抜いてあるのだが、空気を抜く事でスポンジが縮み、ピンにストレスがかかっていて、反っているじゃないかと思う。
ラップを破れば、空気が入って、反りは戻るかもしれないが、微妙に反った状態になるかもしれず、非常に微妙・・・
普通は、もっと安全確実な方法で梱包すると思うのだが、デリケートな品物だけに、強引すぎると思う。
※以前に RX63T を注文した時は、こんな強引な梱包をしてこなかった。

「ピンが曲がっていたら交換してくれる」と言う事なので、意を決して、パッケージを開けてみたー
ピンが曲がっていたと思えたのは、ピンが導電スポンジにめり込んでいる為だったようで、購入した3個、全て問題無かった。
でも、もっと「やんわり」梱包する方法はあるハズで、そこは改善して欲しいとこ。

早速、変換基板にハンダ付けしてみた。
※変換基板は、今まではダイセン製を好んで使っていたが、秋月で良さそうな物を売っていたので購入してみた、値段は安いけど、品質は満足のいく代物。
やっぱ、0.5mmピッチは厳しいなぁー、176ピンもあるので大変、それと、ハンダコテの温度設定が低くなってて、難儀した。
ハンダ吸い取り線による、ブリッジの除去も、温度が低かったせいか、難儀した・・・

IMG_0664s

ルーペで拡大して、念入りに確認したので、まぁ、大体大丈夫と思う、多少怪しい部分もあるのだけど・・・

追記:(2014年9月21日)
この変換基板、重大な問題がある事が判りましたー、まぁ176ピンの変換基板を使う人は限られると思いますが・・

IMG_0665s

↑写真で判るように、縦と横のピンヘッダー取り付け部分のグリッドが 2.54mm ピッチでは無く、そのままでは、一般的な
蛇の目基板に取り付け出来ません・・・

※twitterでツイートしたら沢山の方にリツイートしてもらいました・・・
※秋月には、報告しません、どうせしても無駄だから・・・、以前にSDカードモジュールの結線ミスに気がついて、報告しましたが、
何の返信もありませんし、商品のQ&Aに情報が共有される事もなく無視されました、なので、今回は何もしません。
秋月は、商品の価格が安く、それゆえ、自作をするものにはメリットが大きいし、利用している人は多いのですが、
アフターケアに関しては、全く駄目なように思います、それを判った上で最大限利用するしかありません。
※現在は、ピッチがズレている事が明記されているようです。

※以前に秋月にメールした全文

お疲れ様です。

K-05818「SDカードスロットDIP化モジュール」について
参考資料で、CD(Card Detect)となっている信号は、ライトプロテクト信号のようです。
この商品に使われているソケットは、「Card Detect」用の端子がありますが、(4番)、GND(5番)とショートされており、使う事が出来ない仕様となっています。
カッターなどで、パターンを切って、(4番)を引き出すと、「Card Detect」として使う事ができました。
Q&A等に、情報として記入する事をお勧めしたいです。

それでは宜しくお願いします。

-----
普通は、いきなり基板を設計するかもしれないが、個人制作なので、とりあえず、ユニバーサル基板で、試作してみる事にする。
まぁ時間はかかるけど、作って動かしてみないと判らない事も多くあるのではと思う。

C 言語よりお得な C++ その10

以前に、std::iostream に代わる小規模なクラスの紹介をしました。
その中で、std::iostream に馴染めなくて、printf 形式が忘れられない人の為に、「boost::format.hpp」を紹介しました。
しかしながら、「boost::format.hpp」は、std::iostream に依存している為、そのままでは、結局リソースを大量に消費してしまい、小規模な組み込みマイコンでは使えません。
そこで、機能を絞った簡易的な format クラスに相当する物を実装してみましたので紹介します。
※機能が足りなければ、自分で拡張する事も出来ると思います。
※本家では、エラーの場合は、例外がスローされますが、それでは使いにくいと思い、エラー関数クラスでハンドリングするようにしています。
※「例外」をスローさせたい場合は、エラー関数から、例外を投げれば良いと思います。
※組み込みマイコン向けに、A/D 変換などの値(整数)を、10進表示する場合に小数点位置を指定して、それを簡単に表示できるようなフォーマットも用意しました。

このように使います。

    int x = 1095;
    int y = 123;
    utils::format<output>("Pos: %d, %d\n") % x % y;

Pos: 1095, 123

    int adv = 257;
    utils::format<output>("A/D Ch0: %2.4:8y\n") % adv;

/// 2.4 ---> 実数2桁、小数4桁。
/// :8 ---> 小数点以下8ビットとして扱う。

A/D Ch0:  1.0039

ここで「output」は、文字の出力クラスで、以下のような定義を行います。
struct output {
    void operator() (char ch) {
        serial_out_(ch);  ///< ターミナルへ文字出力
    }
};
「operator()」を定義する事で、以下のように関数オブジェクトとして使えます。
    output o;
    o('a');    ///< 'a' を出力
    o('\n');   ///< 改行を出力
※「operator()」を「public」にする為、あえて、「struct」としています。

さて、実際の実装ですが、まず format の設計方針を決めます。
・名前空間を「utils」とします。
・float の表示は、基本的に行わない事とします。(今後コンパイルオプションで切り替える)
・整数計算のみを使い、巨大にならないよう配慮する。
・クラッシュは論外としても、きめ細かいエラーのハンドリングは省略する。(必要なら追加する事も可能)
・printf のフォーマットに近い仕様を網羅する。
・2進、8進、16進表示を行う。
・ゼロサプレスの制御
・有効表示数の制御
・オートフォーマットは未サポートとする。

format の中

・フォーマット文字列をスキャンして「%」以下の書式を読み取る。
    void next_() {
        if(form_ == 0) {
            err_(error_case::NULL_PTR);
            return;
        }
        char ch;
        bool fm = false;
        bool point = false;
        bool ppos = false;
        uint8_t n = 0;
        while((ch = *form_++) != 0) {
            if(fm) {
                if(ch == '+') {
                    sign_ = true;  // 符号付きの場合
                } else if(ch >= '0' && ch <= '9') {
                    if(n == 0 && ch == '0') {
                        zerosupp_ = true;  // 最初の数字が「0」なら、0サプレスしない。
                    } else if(point || ppos) {
                        if(point) {
                            decimal_ *= 10;
                            decimal_ += static_cast(ch - '0');
                        } else {
                            ppos_ *= 10;
                            ppos_ += static_cast(ch - '0');
                        }
                    } else {
                        real_ *= 10;
                        real_ += static_cast(ch - '0');
                    }
                    ++n;
                } else if(ch == '.') {
                    ppos = false;
                    point = true;
                } else if(ch == ':') {
                    ppos = true;
                    point = false;
                } else if(ch == 's') {
                    mode_ = mode::STR;
                    return;
                } else if(ch == 'c') {
                    mode_ = mode::CHA;
                    return;
                } else if(ch == 'b') {
                    mode_ = mode::BINARY;
                    return;
#ifdef WITH_OCTAL_FORMAT
                } else if(ch == 'o') {
                    mode_ = mode::OCTAL;
                    return;
#endif
                } else if(ch == 'd') {
                    mode_ = mode::DECIMAL;
                    return;
                } else if(ch == 'u') {
                    mode_ = mode::U_DECIMAL;
                    return;
                } else if(ch == 'x') {
                    mode_ = mode::HEX;
                    return;
                } else if(ch == 'X') {
                    mode_ = mode::HEX_CAPS;
                    return;
                } else if(ch == 'y') {
                    mode_ = mode::FIXED_REAL;
                    return;
#if defined(WITH_FLOAT_FORMAT) | defined(WITH_DOUBLE_FORMAT)
                } else if(ch == 'f' || ch == 'F') {
                    mode_ = mode::REAL;
                    return;
                } else if(ch == 'e' || ch == 'E') {
                    mode_ = mode::EXPONENT;
                    return;
                } else if(ch == 'g' || ch == 'G') {
                    mode_ = mode::REAL_AUTO;
                    return;
#endif
                } else if(ch == '%') {
                    out_(ch);
                    fm = false;
                } else {
                    err_(error_case::UNKNOWN_TYPE);
                    return;
                }
            } else if(ch == '%') {
                fm = true;  // フォーマットの開始を検出!
            } else {
                out_(ch);  // フォーマットに関係しない文字は、そのまま出力
            }
        }
    }
・オペレーター「%」を定義する
//  この定義では、int 型の値が代入された場合の挙動を記述します。
//  事前に format 文字列の中をスキャン(next_() 関数)して、「%」を見つけ、それに続く「型」を「mode_」に格納しておきます。
    format& operator % (int val) {
        if(mode_ == mode::BINARY) {
            out_bin_(val);
        } else if(mode_ == mode::OCTAL) {
            out_oct_(val);
        } else if(mode_ == mode::DECIMAL) {
            out_dec_(val);
        } else if(mode_ == mode::HEX) {
            out_hex_(static_cast(val), 'a');
        } else if(mode_ == mode::HEX_CAPS) {
            out_hex_(static_cast(val), 'A');
        } else if(mode_ == mode::FIXED_REAL) {
            if(decimal_ == 0) decimal_ = 3;
            out_fixed_point_(val, ppos_);
        } else {
            err_(error_case::DIFFERENT_TYPE);
        }
        reset_();  // 変数をリセット
        next_();  // 「%」のスキャンを再始動
        return *this;
    }

※これらはソースの一部です。
「%」オペレーターでは、「int」型、「unsigned int」型、「const char*」型など、色々な型を定義してあり、コンパイラが適合する型を選択して呼び出してくれます。

組み込みマイコンでは、A/D 変換した値(大抵、電圧や電流値)を、小数点以下まで表示させたい場合があります、そこで、「y」フォーマットを用意しておきました、これは、整数値を固定小数として扱い、小数点以下も変換して表示します、小数点の位置は「:x」として自由に設定できます。(最大28ビット)
※浮動小数点が扱えない場合などに重宝します。
たとえば、12ビットのA/Dコンバーターで、基準電圧を2.5V(4096)の場合で、A/D入力に1/5の電圧が分圧される場合は、以下のようになります。


    uint32_t adv = get_adc();
    utils::format<output>("A/D Chanel: %2.3:13y\n") % (adv * 25);  // 2.5 * 5 * 2 
//  2.5 * 5 ---> 12.5 なので、さらに倍にして、小数点以下を12に1を加えて13ビットとする。

※8進数は、あまり使わないと思うので、コンパイルオプションとしました。(リソースの節約)
※逆に、2進数表示は大抵必要なので、「%b」フォーマットを追加してあります。
※浮動小数点は、実装中です、仕様が複雑なので、今後の対応、課題とします。

最終的なソースコードは、format.hpp ここにあります。
※いつもの github

MinGW でビルドする RX マイコン用 gcc

開発環境を MinGW に移行して、懸案だった RX マイコン用 gcc の構築を行った。

以前の cygwin 環境では、途中で、gcc が止まったり、妙なエラーが出て、上手くコンパイル出来ない状態だった・・
これは、適切なオプションを選択する事で回避出来るようだが、情報が無いし、試行錯誤に疲れて棚上げ状態だった。

MinGW 環境では、何とも普通にコンパイル出来るので、逆に不思議でさえ思ったが、これが普通なんだろうね・・・

コンパイルの詳細は、「Interface 2014年2月号」に詳しく載っているようだが、ネットにあるクロスコンパイラの構築などを参考にしても良いだろう。

手順が複雑で、扱うパッケージのバージョンとの相性などがある為、上手くいかない場合があると思う。

-----

RX マイコン用では、gcc-4.7.3 が良いようだ、C++11 を本格利用は出来ないが、C++0x は使えるので、問題無いと思う、gcc-4.8.x は失敗するようだ。

RX-gcc-4.7.3-ELF パッケージ
※コンパイル済みバイナリーを置いておく。(107MB)
※gcc-4.8.1 で構築した。

MicroChip RN-52 Bluetooth モジュールを使ったオーディオ再生

Bluetooth オーディオで、音楽を飛ばす場合(A2DP)は、圧縮フォーマットの関係で、良い音で聞くのが物理的に困難だった。
しかし、最近になって、新しい高音質プロファイル(APT-X/AAC)などに対応する機器が出始めた。

丁度、Microchip 社が、↑のプロファイルに対応した Bluetooth モジュールの販売を始めたので、使ってみる事にした。
RN-52
※Microchip 社のオンラインストアでも、1個から購入可能、モジュールが20ドル、送料が10ドル程かかる(発送には2週間程度かかるようだ)

このモジュールの特徴は:
・APT-X/AAC プロファイルに対応
・デジタル出力を出せる
※設定を行う必要がある。
・比較的安価
・外付け部品が殆どいらない
・Bluetooth のオーディオ系のプロファイル(AVRCP など)を全てサポートしている
・認証:FCC、IC、CE、Bluetooth SIG
・言うまでも無く、手軽に、自分だけの Bluetooth 機器を作れる

バッテリー内臓で、持ち運びが出来る、小さいラジカセのような物が欲しかったので、丁度良い感じ~

昨日、モジュールが届いたので、早速、簡単な動作確認をしてみた。

最初のハードルは、モジュールに出ているピンの間隔が 1.2mm と狭い為、工夫しないと、ユニバーサル基板に乗せられない。
自分は、適当な基板に絶縁用の板(フォーレックス)を乗せ、その上にモジュールを置いて、ワイヤーをハンダ付けした。
RN-52 Board

モジュールを自力で何とかするのが厳しい人は、SparkFun のブレークアウトを利用すれば良いだろう~(44.95ドル)

しかし、1.2mm 間隔のハンダ付けは、そんなに厳しいものでは無いので、根気だけだと思うな。

モジュールが出来たら、必要な配線をして、ペアリングをしてみよう~

・POWEN(21) ---> パワースイッチ
・VDD(22) ---> 3.3V(電流は動作中は少ないけど、ピークで30mA くらいは流れるみたいだ・・)
・GND(1,18,27,44,45,46,47,48,49,50) ---> GND(接地)
・LED1(32) ---> LED 赤色(470)
・LED0(33) ---> LED 青色(47)
・AGND(39) ---> AGND(アナログ接地)
・SPKR_R-(40) ---> 右SP-
・SPKR_L-(41) ---> 左SP-
・SPKR_R+(42) ---> 右SP+
・SPKR_L+(43) ---> 左SP-
※L-、R- は独立した出力なので、共通にする事は出来ない、又、インピーダンスの低い負荷(直でスピーカー)をドライブする事も難しいと思う。
※一般的なステレオイヤホン(ステレオプラグなど、接地が共通の場合)などを繋ぐ場合には、アンプを入れる必要があると思う、ドキュメントの回路図などが参考になる。
※電源には1uF程度のパスコンを念のため入れておく。

とりあえず、これだけ接続して、パワースイッチを押せば電源が入る。
長押しすれば、赤、青の LED が交互に光って、ペアリング待ちになる。

------
以前に USB のデジタルオーディオインターフェースを作った時に、バーブラウンの 24 ビット DAC などを買ったので、それを接続しようと思う~
S/PDIF 出力を行うには、RXD、TXD にターミナルを接続して、コマンドで設定が必要みたいだ。

IMG_0575s

APT-X/AAC などに対応した、USB アダプターは、最近ようやく入手出来るようになってきた。
※ドライバーがカスで、使えないやつもあるみたいなので注意!、MM-BTUD44 は、問題無く使えている。

アイデア次第で、自分だけのオーディオ機器を気軽に自作できて、これは流行りそうだなー

IMG_0577s
ラジオデパートの4階で、1個200円で売っていたスピーカー(F70A21-5)と、アンプを繋いで鳴らしてみた、このスピーカー、200円とは思えないwww、これは、ちゃんと箱に入れれば、普通に使えそうだなー

☆Bluetooth AUDIO としては、ポケットに入れて持ち運べるタイプも欲しい、そこで、ヘッドホンでの音を確認する為、ヘッドホンアンプとしては最強との呼び声の TI の TPA6120A2を繋いで視聴してみたー
RN-52 内臓の D/A コンバーターもそんなに悪く無い感じだ。
※TPA6120A2 は、+-両電源が必要なので、DC/DC(MAU106) コンバーターを使っている。
※一般に売っているタイプはスティックタイプで、凄く小さいけど、電池はあまり長持ちしないし、あそこまで小さい必要は感じないので、パワフルなアンプを入れてガッツリ作りたい。
やっぱりボリュームが欲しいなぁー
IMG_0579s

C 言語よりお得な C++ その7

前回、コンペアマッチタイマーの制御をテンプレート化してみました。

今回は、少し複雑ですが、シリアルコミュニケーションインターフェースをテンプレート化してみます。

実用的なシリアルコミュニケーションでは、通常、受信、送信は割り込みによって行い、メインとは FIFO などでやりとりします。
さらに RX マイコンでは、DMA も使う事が出来ますが、やりとりするデータ量と、出し入れに係わる細かい操作を考えると、DMA を使う事にあまりメリットが無いので、通常の割り込みで行う設計とします。

FIFO のバッファサイズは、アプリケーションの構造、送受信のボーレート、などにより最適なサイズがあると思われますので、可変に出来るようにします。
※以前のコンペアマッチタイマーより、バッファサイズをパラメーターとしている為、少し複雑です。

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  SCI I/O 制御クラス
        @param[in]  SCI SCIx 定義クラス
        @param[in]  recv_size   受信バッファサイズ
        @param[in]  send+size   送信バッファサイズ
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <class SCIx, uint32_t recv_size, uint32_t send_size>
    class sci_io {

        static utils::fifo<recv_size>   recv_;
        static utils::fifo<send_size>   send_;

        static INTERRUPT_FUNC void recv_task_()
        {
            bool err = false;
            if(SCIx::SSR.ORER()) {  ///< 受信オーバランエラー状態確認
                SCIx::SSR = 0x00;   ///< 受信オーバランエラークリア
                err = true;
            }
            ///< フレーミングエラー/パリティエラー状態確認
            if(SCIx::SSR() & (SCIx::SSR.FER.b() | SCIx::SSR.PER.b())) {
                err = true;
            }
            if(!err) recv_.put(SCIx::RDR());
        }

        static INTERRUPT_FUNC void send_task_()
        {
            SCIx::TDR = send_.get();
            if(send_.length() == 0) {
                SCIx::SCR.TEIE = 0;
            }
        }
...

重要な部分は、fifo の定義です、割り込み関数とクラスとで、送受信データをやりとりする必要がある為、「static」としています。
テンプレートのパラメーターから、受信サイズ、送信サイズを受け取って、静的に宣言されます。
割り込み関数も static 宣言します、この関数アドレスは、初期化時、割り込みベクターに渡されるようにしています。

    sci_io<device::SCI0, 128, 128> sci0_;
    sci_io<device::SCI1,  64, 256> sci1_;

↑のように、SCI0、SCI1 を宣言すると、テンプレートパラメーター SCIx が異なる為、static に宣言された fifo の領域は SCI0、SCI1 で別々に確保されます。

クラス内の static 宣言では実態を別に宣言しておく必要があります。

    template<class SCIx, uint32_t recv_size, uint32_t send_size>
        utils::fifo<recv_size> sci_io<SCIx, recv_size, send_size>::recv_;
    template<class SCIx, uint32_t recv_size, uint32_t send_size>
        utils::fifo<send_size> sci_io<SCIx, recv_size, send_size>::send_;

どうでしょうか、これで、チャネル毎バッファサイズを変更して静的に使う事が出来ます。

全ソースコードは github にあります。

デジタル・スイッチング・レギュレーター

現在、SW レギュレーターを組もうと思ったら、専用の IC を買えば済む、しかし、微妙に違う仕様のICが数限りなくあり、ベストな選択をする事が難しいし、数個購入するとなると、割高でもある。

とりあえずのゴールは、リチウムイオン電池の充電や、ブラシレスモーターの制御なのだが、専用 IC で組むとそれなりの値段になってしまうし、より細かい制御をしようと思うと、マイコンの助けも必要なので、1個のマイコンだけで、全ての制御を行う予定。

まず、「昇圧」は、電流の管理が必須で、誤るとドライバーを破壊するので、無難な「降圧」方式で実験してみた。

12 ビットの A/D コンバーターを使って、フィードバックを行い、指令電圧に追従させてみた。
まず、一番単純な制御で行ってみた。

IMG_0534ss

A/D チャネル0: 10K のボリューム(指令電圧)
A/D チャネル1: 出力電圧(1/6)
A/D チャネル2: 入力電圧(1/6)

A/D の入力には、AD8656 をバッファアンプに使い、1/6 に分圧して、基準電圧には 2.5V のリファレンスを使った、電源は 12V 。
※写真のボードでは、保護抵抗やリミッターを省いているが、付けた方が無難だろう。

パワー MOS-FET は、IR 社の IRLR3114 、ドライバーはリニアテクノロジーの LTC4442

LTC4442 の制御電圧は FET のゲート電圧を考えて 10V 程度を供給している。
※バイパスコンデンサをしっかり配置しないと、正常に動作しない、使うのにコツがいるようだ、ハイサイド側が ON した時、かなりハンチングしているようで、原因が良く判らない・・・
IMG_0535ss
LTC4442 は、上下の FET が貫通しないような工夫がしてあるので、デッドタイムの制御はしなくていいのでコンビニエンスだ・・(それが正しく働いてなくて、ハンチングしているのかも・・)

RX63T は、PWM タイマーの周波数として 100MHz を扱えるので、9 ビットの分解能として、187.5KHz (96MHz / 512) を実現している。
インダクターは TDK の 22uH 電圧にもよるけど、このサイズ(容量)なら 500mA 程度なら取り出せるだろうか・・

メインループは、1000Hz なので、応答は、そんなに高速では無いが、サンプリング方式では、どのみち限界がある。

ソースコード一式を、github にプッシュしてある。

-----
今後の課題として、もっと違った制御法を試して、ステップ応答などの特性を評価してみないといけない。

追記 (2014/1/1)(2014/1/2):
・比例制御から、もう少し違う制御にしてみた・・
・A/D の変換タイミングを、PWM に同期させてみた。
・ハイサイドの FET をチャージポンプで駆動している為、パルスが無くならないように、最低値と最大値を制限。
・サンプリングは 10KHz にした。

    bool up = true;
    int32_t base_gain = 651;
    int32_t high_gain = 1500;
    int32_t low_limit = 10;
    int32_t high_limit = 500;
    int32_t cpv = low_limit;
    while(1) {
        adc_.start(0b00000111);

        cmt_.sync();

        // A/D 変換開始
        adc_.sync();
//        int32_t ref = static_cast<int32_t>(adc_.get(0)); // 指令電圧
        int32_t out = static_cast<int32_t>(adc_.get(1)); // 出力電圧
        int32_t inp = static_cast<int32_t>(adc_.get(2)); // 入力電圧

        // 三角波
        if(up) {
            ref += 20;
        } else {
            ref -= 20;
        }
        if(ref > 1700) {
            up = false;
            ref = 1700;
        } else if(ref < 200) {
            up = true;
            ref = 200;
        }

        int32_t dif = ref - out;  // 誤差
        // PWM の制御量に対するスレッショルド
        if(std::abs(dif) < 40) {
            if(dif < 0) --cpv;
            else ++cpv;
        } else {
            // 基本的な制御量の計算
            int32_t d = dif * 512 / inp;

            // 指令電圧、入力電圧の比に応じて、ゲインを制御
            // ・指令電圧が低い場合はゲインを小さくする
            int32_t g = (high_gain - base_gain) * ref / inp;
            g += base_gain;
            if(d < 0) g -= g / 4;
            cpv += d * g / 4096;
        }

        // 出力リミッター
        if(cpv < low_limit) cpv = low_limit;
        else if(cpv > high_limit) cpv = high_limit;

        gpt_.set_a(cpv);
        uint16_t ofs = (512 - cpv) / 2;
        gpt_.set_ad_a(cpv + ofs);   // A/D 変換開始タイミング

↑はメインループ(サンプリング)部分
※実用的には過電流保護なども必要。
出力に 1000uF のコンデンサと 10uF のセラミックコンデンサを入れたら、リップルはかなり小さくなり、これなら実用的と思える。
※電圧が低い場合にはゲインを抑えるように改修

IMG_0537ss
※三角波を出力したところ
これなら、まぁ許容できるかも・・

追記(2014/1/7):
トップのオン時、出力が振動するのは、リニアテクノロジーの資料を読んでたら、トップ側FETに並列にショットキーダイオードを入れる事で改善する事が判り、早速入れてみた、完全には無くならないが、確かに改善してる。
全体的にリップルも減った。

DC/DC コンバーターとリチウム電池充電

16x16 ドットマトリックス LED 用の電源回路を作ってみた。

これは、一応キッチンタイマーなので、電池で動作する必要がある。

電池には、リチウムイオンポリマー電池を使ったので、5Vの昇圧と、充電回路も組み込んだ。

IMG_0528ss
IMG_0529ss

昇圧の DC/DC コンバーターは、電流が少なければ、HT7750Aとかでも良いのだけど、このICは、電流を多く取れないし、効率も悪く、フライホイールダイオードを追加する必要がある、そこで色々捜していたが、中々良い物(値段が安い)が無い、そんな時、EMH7601を見つけた!、このICは同期整流で、電流も多く取れてシンプルで高性能、値段も100円と、安い!
早速コレを使う事に決めた。
充電には、MCP73831T-2ACIを使った、これも2個で100円と格安だ。

なるべく小さいスペースに詰め込んだ為、かなりキュウキュウだけど、とりあえず、何とか動作した。
ただ、残念なのは、「スライドスイッチ」だった・・・
予定では、二回路を使い、電源 OFF 時に、USB から充電、電源 ON 時には、USB から給電する予定だったが、1回路を買ってしまい、電源 OFF 時でも充電と給電をしてしまう。
いまさら、スイッチを交換するのもシンドイので、とりあえずそのままになってる。
※電源 ON 時に、USB から給電すると、DC/DC は完全にシャットダウンされるように工夫してある、P チャネルと N チャネルのFETを使って DC/DC の SD 端子を制御している。
ゲートを1回路だけ使いたいとか、要求が良くあるので、そんなのが欲しいとこだけど手持ちに無い、調べるとマルツパーツで売ってるみたいなので、今度買っておこう~

EMH7601 は、ほんとに素晴らしい~、通常ゲートを低電圧で動かして、低 ON 抵抗で高速に動かすのは難しいのだが・・・、それに同期整流で、外にショットキーダイオードを追加しなくても良い点も素晴らしい。
こうゆう斬新な製品は、意外と知られていないメーカーが創っており、入手が難しかったりするのだが、今回は Aitendo で扱っていてラッキーだった。

充電回路と DC/DC を合わせた小さい基板は需要がありそうだから、作ればよいと思うが、作るとなるとそれなりの値段になってしまうのだろうな・・・

C 言語よりお得な C++ その6

前回、非常に簡単ではありましたが、テンプレートで 「C 言語よりお得な C++ その5」FIFO のサイズを可変する方法を書きました。

今度は、もう少し複雑ですが、もっと実用的な実装のアイディアを示します。

以前から主に RX マイコン用の I/O 定義を C++ で実装して来ました、今回それを活用して実際に I/O の操作を行うクラスをテンプレートで実装してみます。

組み込みマイコンでは、ハードウェアーリソースは、大抵複数のチャネルがあります。
例えば、RX63T には CMT(コンペアマッチタイマー)は4チャネルあります、チャネル毎に操作する I/O の対象は微妙に違い、C のプログラムでは、チャネル毎に別々に実装するしかありませんでした(define のマクロで解決する方法は論外です)、このような微妙な違いは、大抵は、I/O のアドレスが違うとか、ビットの位置が違うなどでした、ですから、自分がどのチャネルに対して操作しているか判れば、柔軟性のあるドライバーを書く事は出来るのですが、テンプレートを使うと、非常にシンプルに判りやすく書けます、また最適化によって余分な部分は自動的に消してくれますので、リソースのダイエットや速度の向上が望めます。

※少し長いですが、cmt_io.hpp を示します。

#pragma once
//=====================================================================//
/*! @file
    @brief  RX62N, RX621, RX63T グループ・CMT I/O 制御 @n
            Copyright 2013 Kunihito Hiramatsu
    @author 平松邦仁 (hira@rvf-rc45.net)
*/
//=====================================================================//
#include "cmt.hpp"
#include "rx63x/system.hpp"
#include "rx63x/icu.hpp"
#include "vect.h"

namespace device {

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  CMT I/O クラス
        @param[in]  CMTx    CMT チャネルクラス
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <class CMTx>
    class cmt_io {

        uint32_t    clock_;

        void sleep_() { }

        static volatile uint32_t counter_;
        static void (*task_)();
        static INTERRUPT_FUNC void cmt_task_() {
            ++counter_;
            if(task_) (*task_)();
            switch(CMTx::get_chanel()) {
            case 0:
                ICU::IR.CMI0 = 0;
                break;
            case 1:
                ICU::IR.CMI1 = 0;
                break;
            case 2:
                ICU::IR.CMI2 = 0;
                break;
            case 3:
                ICU::IR.CMI3 = 0;
                break;
            }
        }

    public:
        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  コンストラクター
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        cmt_io() : clock_(0) { }


        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  ベースクロックの設定
            @param[in]  clock   ベース周波数
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        void set_clock(uint32_t clock) { clock_ = clock; }


        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  初期化
            @param[in]  freq    タイマー周波数
            @param[in]  level   割り込みレベル
            @return レンジオーバーなら「false」を返す
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        bool initialize(uint32_t freq, uint8_t level) const {
            if(freq == 0 || clock_ == 0) return false;

            uint32_t cmcor = clock_ / freq / 8;
            uint8_t cks = 0;
            while(cmcor > 65536) {
                cmcor >>= 2;
                ++cks;
            }
            if(cks > 3 || cmcor == 0) {
                return false;
            }

            uint32_t chanel = CMTx::get_chanel();
            task_ = 0;
            switch(chanel) {
            case 0:
                set_interrupt_task(cmt_task_, ICU::VECTOR::CMI0);
                CMTx::CMSTR0.STR0 = 0;
                SYSTEM::MSTPCRA.MSTPA15 = 0;
                ICU::IPR.CMI0 = level;
                ICU::IER.CMI0 = true;
                ICU::IR.CMI0 = 0;
                break;
            case 1:
                CMTx::CMSTR0.STR1 = 0;
                SYSTEM::MSTPCRA.MSTPA15 = 0;
                set_interrupt_task(cmt_task_, ICU::VECTOR::CMI1);
                ICU::IPR.CMI1 = level;
                ICU::IER.CMI1 = true;
                ICU::IR.CMI1 = 0;
                break;
            case 2:
                CMTx::CMSTR1.STR2 = 0;
                SYSTEM::MSTPCRA.MSTPA14 = 0;
                set_interrupt_task(cmt_task_, ICU::VECTOR::CMI2);
                ICU::IPR.CMI2 = level;
                ICU::IER.CMI2 = true;
                ICU::IR.CMI2 = 0;
                break;
            case 3:
                CMTx::CMSTR1.STR3 = 0;
                SYSTEM::MSTPCRA.MSTPA14 = 0;
                set_interrupt_task(cmt_task_, ICU::VECTOR::CMI3);
                ICU::IPR.CMI3 = level;
                ICU::IER.CMI3 = true;
                ICU::IR.CMI3 = 0;
                break;
            }

            CMTx::CMCR = CMTx::CMCR.CMIE.b() | CMTx::CMCR.CKS.b(cks);
            CMTx::CMCOR = cmcor - 1;

            switch(chanel) {
            case 0:
                CMTx::CMSTR0.STR0 = 1;
                break;
            case 1:
                CMTx::CMSTR0.STR1 = 1;
                break;
            case 2:
                CMTx::CMSTR1.STR2 = 1;
                break;
            case 3:
                CMTx::CMSTR1.STR3 = 1;
                break;
            }
            return true;
        }


        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  割り込みタスクを設定
            @param[in]  task    設定タスク
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        void set_task(void (*task)()) const {
            cmt_task_ = task;
        }


        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  割り込みと同期
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        void sync() {
            volatile uint32_t cnt = counter_;
            while(cnt == counter_) ;
        }


        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  割り込みカウンターの値を取得
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        uint32_t get_count() const {
            return counter_;
        }


        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  CMT カウンターの値を取得
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        uint16_t get_cmt_count() const {
            return CMTx::CMCNT();
        }
    };
    template <class CMTx> volatile uint32_t cmt_io<CMTx>::counter_;
    template <class CMTx> void (*cmt_io::task_)();
}

ここで、重要なしくみは、「static」で宣言された関数と変数です、これは、割り込みルーチンと、クラスとのデータをやり取りする部分ですが、static に宣言されている為、クラスのインスタンスを取得する事が必要では無く、割り込み関数から簡単にアクセス出来ます。

※クラス外で、static 宣言されたリソースの実態を記述しておく必要がありますが、それは、コードの最後の方で行っています。

    template <class CMTx> volatile uint32_t cmt_io<CMTx>::counter_;  // カウンター変数の実態
    template <class CMTx> void (*cmt_io::task_)();  // 関数アドレスの実態

クラス内で static 宣言された変数やクラスは、そのクラスで共有されるのですが、このクラスはテンプレートクラスなので、CMT のチャネルが違えば、変数や、関数は、別々にインスタンス化されますので、好都合です。

このテンプレートクラスでは、個々の処理で、チャネル番号を取得して、switch 文により、処理を分けていますが、ここが、テンプレートの賢いところで、チャネル番号は、インスタンス化の時に定数なので、余分なケースは取り除かれてチャネル固有の実装だけが、取り込まれます。

どうでしょうか?、組み込みでも C++ を使う効果が理解できたのでは無いでしょうか?

※このソースコードや、I/O 定義ヘッダーは github にありますので参照して下さい。