C 言語よりお得な C++ その7

前回、コンペアマッチタイマーの制御をテンプレート化してみました。

今回は、少し複雑ですが、シリアルコミュニケーションインターフェースをテンプレート化してみます。

実用的なシリアルコミュニケーションでは、通常、受信、送信は割り込みによって行い、メインとは FIFO などでやりとりします。
さらに RX マイコンでは、DMA も使う事が出来ますが、やりとりするデータ量と、出し入れに係わる細かい操作を考えると、DMA を使う事にあまりメリットが無いので、通常の割り込みで行う設計とします。

FIFO のバッファサイズは、アプリケーションの構造、送受信のボーレート、などにより最適なサイズがあると思われますので、可変に出来るようにします。
※以前のコンペアマッチタイマーより、バッファサイズをパラメーターとしている為、少し複雑です。

    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    /*!
        @brief  SCI I/O 制御クラス
        @param[in]  SCI SCIx 定義クラス
        @param[in]  recv_size   受信バッファサイズ
        @param[in]  send+size   送信バッファサイズ
    */
    //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
    template <class SCIx, uint32_t recv_size, uint32_t send_size>
    class sci_io {

        static utils::fifo<recv_size>   recv_;
        static utils::fifo<send_size>   send_;

        static INTERRUPT_FUNC void recv_task_()
        {
            bool err = false;
            if(SCIx::SSR.ORER()) {  ///< 受信オーバランエラー状態確認
                SCIx::SSR = 0x00;   ///< 受信オーバランエラークリア
                err = true;
            }
            ///< フレーミングエラー/パリティエラー状態確認
            if(SCIx::SSR() & (SCIx::SSR.FER.b() | SCIx::SSR.PER.b())) {
                err = true;
            }
            if(!err) recv_.put(SCIx::RDR());
        }

        static INTERRUPT_FUNC void send_task_()
        {
            SCIx::TDR = send_.get();
            if(send_.length() == 0) {
                SCIx::SCR.TEIE = 0;
            }
        }
...

重要な部分は、fifo の定義です、割り込み関数とクラスとで、送受信データをやりとりする必要がある為、「static」としています。
テンプレートのパラメーターから、受信サイズ、送信サイズを受け取って、静的に宣言されます。
割り込み関数も static 宣言します、この関数アドレスは、初期化時、割り込みベクターに渡されるようにしています。

    sci_io<device::SCI0, 128, 128> sci0_;
    sci_io<device::SCI1,  64, 256> sci1_;

↑のように、SCI0、SCI1 を宣言すると、テンプレートパラメーター SCIx が異なる為、static に宣言された fifo の領域は SCI0、SCI1 で別々に確保されます。

クラス内の static 宣言では実態を別に宣言しておく必要があります。

    template<class SCIx, uint32_t recv_size, uint32_t send_size>
        utils::fifo<recv_size> sci_io<SCIx, recv_size, send_size>::recv_;
    template<class SCIx, uint32_t recv_size, uint32_t send_size>
        utils::fifo<send_size> sci_io<SCIx, recv_size, send_size>::send_;

どうでしょうか、これで、チャネル毎バッファサイズを変更して静的に使う事が出来ます。

全ソースコードは github にあります。