R8C I2C(RTC)のテスト

「R8C M120AN/M110AN」には、I2C専用ハードは無いので、ポートを制御する事で
同等の機能を実現するしかない。

個人的には、I2Cは嫌いだ、ポートの制御が面倒で複雑だし、速度もあまり速くなく、
デバイスによっては、特別なケアが必要な場合もある。
SPIはもっと簡単で高速だ、デバイスを沢山繋げるとポートを消費するけど、少なく
とも、DI、DOは共通化できるので、デバイスセレクトのみで、I2Cのように、
ポートの入出力がこまめに変化したりしない。
2本の制御線でやりとりするなら、より良い方法が他にあると思う、しかしながら、業
界標準的な位置づけになると、規格がはびこってしまい、どれもがI2C通信となる
困った状況だ・・・
ここまで、I2Cが流通してしまうと、規格が悪いとか言ってられなくなるのも事実で、
とりあえず、ソフト制御のI2Cクラスを実装する事とした。

とりあえず、手持ちのI2Cデバイスでテストしてみた、今回はDS1371を選んだ
DS1371は32ビットのバイナリーカウンターを内臓したRTCで、以前に、マキ
シム社にサンプルをもらって評価したデバイスの余りで、RTCの中でも構成としては
使いやすいデバイスである。(32ビットのカウンターが基本で、1.7V~5.5Vで動作)
※但し、購入するとなると、安くは無い事が判る、もっと複雑で扱いが面倒な、秒、分、
時、日、月、年などで構成されたタイプの方が安い。
degikey の場合で、377円
※1個100円くらいだと助かるのだが・・(R8Cより高いので違和感があるのか)
以前にもRXにこのデバイスを接続した時のブログで紹介したが、時間管理のデバイス
では、バイナリーカウンターがあればそれで十分で、他の構成は、使いにくいだけで、
最悪だと思う。
結局、まっとうな時間管理が必要な場合は、秒単位にシリアライズしなければならない。
※ハードを設計する人が、ソフトの都合をまるで判っていない例の一つだと思う。

さて、I2C専用ハードの場合と違って、プロトコルを細部まで理解する必要がある。
※ここで、大きなミスは、ネットにある情報が、自分の知りたい部分以外が多くて、
重要な部分を理解しないまま、「多分こうだろう」的な感じで、実装してしまい、
それが悪くて、中々通信が出来なかった事。
最終的には、DS1371の英文マニュアルの一部を読んでいて気がついた・・・
スレーブからのリード時のACKの振る舞いが判ってなかった・・・

IMG_0747

I2C関係の構成としては、以下のようになっている。

common/i2c_io.hpp  --->  I2C基本制御クラス
common/ds1371_io.hpp  --->  DS1371制御クラス
I2C_test/main.cpp  --->  SCL、SDA、ポート定義クラス

ポートの定義

// DS1371 I2C ポートの定義クラス
// P1_B7: SCL
// P4_B5: SDA
struct scl_sda {
    void init() const {  // オープン・ドレイン設定
        device::POD1.B7 = 1;
        device::POD4.B5 = 1;
    }
    void scl_dir(bool b) const { device::PD1.B7 = b; }  // SCL 方向 (0:in, 1:out)
    void scl_out(bool b) const { device::P1.B7 = b; }   // SCL 出力
    bool scl_inp() const { return device::P1.B7(); }    // SCL 入力
    void sda_dir(bool b) const { device::PD4.B5 = b; }  // SDA 方向 (0:in, 1:out)
    void sda_out(bool b) const { device::P4.B5 = b; }   // SDA 出力
    bool sda_inp() const { return device::P4.B5(); }    // SDA 入力
};

このクラス定義は、少し冗長だけど、I2CのSCL、SDAをどのポートに対応さ
せるかを実装する。
※詳細なテストはしていないが、オープンドレインポートじゃなくても動作すると思う。

デバイスの制御
「ds1371_io.hpp」はテンプレートクラスで上のポート定義を渡す。
内部的には、ポート定義は、i2c_io クラスにそのまま渡している。
デバイスの制御では
・初期化 ---> DS1371 の制御レジスターを設定する。
・リード ---> 32ビットカウンターの読み出し(time_t で受け渡しをする)
※RTC特有の部分として、確率的に読み出すタイミングでカウントアップが行われた際、
全てのカウンタ値が確定する前に不正な値を読み出してしまう場合があり、複数回読み出
して比較する事でこれを回避している。
・ライト ---> 32ビットカウンターへ書き込み(time_t で受け渡しをする)
※他のデバイスを制御するなら、このソースを参考にすれば、少しの手間で、色々なI2C
デバイスに対応できると思う。

I2C制御
基本的に、初期化と、読み出し、書き込みなどの関数しか無い。
また、7ビットのデバイスアドレスしか対応していないが、10ビットのアドレスを使って
いるデバイスは少ないようなので問題無いだろう。
一応、100KBPS、400KBPS を切り替えられるようにしてあるが、ソフトウェアーループによる
クロック生成なので、あまり正確ではなく、実際より10%以上遅いと思われる。

I2Cの仕様として、スレーブデバイスが、内部動作の影響で、応答出来ない場合に、SCL
を強制的に「0」にする事で、動作を遅延させる事が出来る。
初期設定では、その「待ち時間」の最大を「200」マイクロ秒としているが、

//-----------------------------------------------------------------//
/*!
    @brief  スレーブデバイスの「待ち」時間の最大値を設定
    @param[in]	busy	待ち時間(単位マイクロ秒)
*/
//-----------------------------------------------------------------//
void set_busy(uint16_t busy) { busy_ = busy; } 

関数で、大きな待ち時間を設定できるようにしてある。
この待ち時間を越えてSCLが引き伸ばされると、各関数はストールして、falseを返す。

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libc の時間関数はかなり巨大な為、必要最小限な実装をした関数群を用意した。
・うるう年の補正、曜日の計算など含まれている。
・time_t から tm 構造体、双方向(シリアライズ、デシリアライズ)で変換可能
・タイムゾーンは+9時間(東京)にしてあり、ハードコーディングしてある。
・time_t はグリニッチ標準時間で管理している。

common/time.h
common/time.c

GitHub R8C