最近、ようやくUSB関係を始めた。
フレームワークは、ルネサス純正の物を試用して実験している。
USBのフレームワークでは、イベント関係で割り込みを使っている。
RX65Nでは、選択型割り込みを使っている。
自分のフレームワークと、ルネサス社のフレームワークを合わせるのは、工夫が必要で、そのままではリンクが難しい。
少し調べると、割り込み関係は、「basic/src/hw/r_usb_rx_mcu.c」で設定されており、これを改修すれば良さそうだ。
それで、色々かち合う部分に手を入れ、USBマスストレージ関係をコンパイル、リンクする事が出来るようになった。
早速動作検証するのだが、動かない・・・
どうやら、割り込みがかからないようだった・・・
よくよく調べると、選択型割り込みクラスにバグがあり、それが原因だった。
※以前に実装していたが、選択型割り込みを扱うデバイスが無かったので、動作検証されていなかった・・
RXマイコンでは割り込み要因は256個まで設定できるが、非常に沢山あるペリフェラルで発生する割り込みをアサインするのは無理があり、物理的に足りない。
そこで、RXマイコンには、割り込みをシェアしたり(グループ割り込み)、使いたい割り込みをアサインしてプログラマブルに使う(選択型割り込み)などの仕組みが用意されている。
ただ、同じようなペリフェラルでも、デバイスによって異なるグループだったり、要因が異なったり、複雑で、ドライバーを作る場合に個々に対応しなければならない。
自分の C++ フレームワークでは、この問題を隠蔽して、簡単に扱えるように、色々な仕組みを実装してある。
※この仕組みこそが C++ を使う最大のメリットの一つと思う。
※特殊なツールを使ってコード生成する必要が無い。
例えば、CMT(コンペアマッチタイマー)を使いたい場合、「cmt_io」クラスを使う。
#include "common/cmt_io.hpp"
typedef device::cmt_io<device::CMT0> CMT;
CMT cmt_;
{
uint8_t intr = 3; // 割り込みレベル
uint32_t freq = 1000; // 1000Hz の周期
cmt_.start(freq, intr);
}
while(1) {
cmt_.sync(); // 同期
}
上記の例では、リソースとして「CMT0」を使い、1000Hz の周期を持ったタイマーを割り込みレベル「3」で起動している。
CMTには、チャネルが4つあり、CMT0~CMT3まで使える。
RX65N の場合 CMT0、CMT1 は通常の割り込みだが、CMT2、CMT3 は選択型割り込みを使う必要があるが、それらは隠蔽されていて、特別な設定を行う必要が無い。
#if defined(SIG_RX24T) || defined(SIG_RX66T) || defined(SIG_RX72T)
typedef cmt_t<0x00088002, peripheral::CMT0, ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::CMI0> CMT0;
typedef cmt_t<0x00088008, peripheral::CMT1, ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::CMI1> CMT1;
typedef cmt_t<0x00088012, peripheral::CMT2, ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::CMI2> CMT2;
typedef cmt_t<0x00088018, peripheral::CMT3, ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::CMI3> CMT3;
#elif defined(SIG_RX64M) || defined(SIG_RX71M) || defined(SIG_RX65N) || defined(SIG_RX72M)
typedef cmt_t<0x00088002, peripheral::CMT0, ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::CMI0> CMT0;
typedef cmt_t<0x00088008, peripheral::CMT1, ICU::VECTOR, ICU::VECTOR::CMI1> CMT1;
typedef cmt_t<0x00088012, peripheral::CMT2, ICU::VECTOR_SELB, ICU::VECTOR_SELB::CMI2> CMT2;
typedef cmt_t<0x00088018, peripheral::CMT3, ICU::VECTOR_SELB, ICU::VECTOR_SELB::CMI3> CMT3;
#endif
CMT0~CMT3の定義は、上記のようになっており、割り込み要因をデバイス毎に定義してある。
auto vec = CMT::get_ivec();
if(level_ > 0) {
if(task != nullptr) {
icu_mgr::set_interrupt(vec, task, level_);
} else {
icu_mgr::set_interrupt(vec, i_task_, level_);
}
CMT::CMCR = CMT::CMCR.CKS.b(cks) | CMT::CMCR.CMIE.b();
} else {
icu_mgr::set_interrupt(vec, nullptr, 0);
CMT::CMCR = CMT::CMCR.CKS.b(cks);
}
上記は「cmt_io」の割り込み関係を設定する部分で、「auto」を使って、割り込み型「ICU::VECTOR」、「ICU::VECTOR_SELB」を自動で再定義している。
「set_interrupt」APIは、割り込み型の違いを定義してあり、それぞれ、割り込みの管理方法が異なる。
static ICU::VECTOR set_interrupt(ICU::VECTOR vec, utils::TASK task, uint8_t lvl) noexcept {
set_task(vec, task);
set_level(vec, lvl);
return vec;
}
static ICU::VECTOR set_interrupt(ICU::VECTOR_SELB vec, utils::TASK task, uint8_t lvl) noexcept
{
for(uint16_t i = 144; i <= 207; ++i) {
if(lvl > 0) {
if(ICU::SLIXR[i] == 0) {
ICU::IER.enable(i, 0);
set_task(static_cast<ICU::VECTOR>(i), task);
ICU::IPR[i] = lvl;
ICU::SLIXR[i] = static_cast<uint8_t>(vec);
ICU::IR[i] = 0;
ICU::IER.enable(i, 1);
return static_cast<ICU::VECTOR>(i);
}
} else if(ICU::SLIXR[i] == static_cast<uint8_t>(vec)) {
ICU::IER.enable(i, 0);
set_task(static_cast<ICU::VECTOR>(i), nullptr);
ICU::SLIXR[i] = 0;
ICU::IR[i] = 0;
return static_cast<ICU::VECTOR>(i);
}
}
return ICU::VECTOR::NONE;
}
※選択型割り込みでは、SLIXR レジスタに、割り込み要因番号を設定する事で行われ、割り込み番号144~207まで定義できる。
※選択型割り込みのバグは、「ICU::SLIXR」レジスタアドレスがタイポしていたものだった・・・