RX72T ボード関係ソフトを更新

RX72T で SD カードの読み書き

以前に制作したRX72Tボード、SDカードの実験をしていなかったので、必要な部品をハンダ付けして実験した。

イモハンダ・・・

ところが、思ったように動作しない・・・

以前に RX24T 用に、RSPI のソフトを動かしていたので、問題無いと思っていたが、非常に奇妙な動作をする・・

  • SanDisk のカードだと認識する。
  • 他のカードだと認識しない・・・

原因不明で、随分悩んだ。

何故か、カードの挿入信号が正常では無かった・・・

原因は、カードの挿入信号用端子のイモハンダだった・・・

SanDisk のカードだと、形状がほんの少し微妙に違うのだろうと思うが、何とか接触するようだ・・・
※他のカードだと解放状態になる・・・

原因が判り、ハンダ付けをやり直して、動作するようになった。

表面実装部品のハンダ付けは、相当気を使う必要がある・・・


少し前も、RX72T ボードで I2C の実験を行ったが、動作が不安定で、原因を調べたら、RX72T ピンのハンダ不良だった・・・


リードが凄く遅い・・・

色々実験を行う過程で、mmc_io.hpp を色々改修していた。

その中で、デバッグメッセージ表示を行う部分を改修していた。

以前は、「#ifdef」でメッセージの表示を行っていた。

#ifdef MMC_DEBUG
            utils::format("rcvr_datablock_: 0x%08X, %d\n") % (uint32_t)(buff)
                % static_cast<uint32_t>(btr);
            utils::delay::micro_second(100000);
#endif

しかし、デバッグ時に表示するメッセージを色々付けたり外したりするのには適切では無いので、以下のようにした。

//      typedef utils::format debug_format;
        typedef utils::null_format debug_format;

これで、上記の「typedef」をどちらか有効にするだけで、切り替わる。
※「null_format」は中身が無いので最適化されると、メッセージ表示の仕組みがそっくり無くなる。

ところが、以前にデバッグした時に、メッセージが速く流れて良く判らなかったのだろうと思うが、無効な遅延を入れていた。
そんな事はすっかり忘却の彼方になっているのは言うまでもない・・・

            debug_format("rcvr_datablock_: 0x%08X, %d\n") % (uint32_t)(buff)
                % static_cast<uint32_t>(btr);
            utils::delay::micro_second(100000);

それが残り、1ブロックリードする度に大きな遅延が入っていた・・・

オシロで、SPCK を観測して、初めて気がついた・・・

これを消して、正常になった。

Lexar 633X 16GB (SDHC) Class10
Write Open:  200 [ms]
Write: 151 KBytes/Sec
Write Close: 17 [ms]

Read Open:  2 [ms]
Read: 654 KBytes/Sec
Read Close: 0 [ms]

※遅延が残った状態だと、リードは、4 KBytes/Sec だった・・・


I2C_sample

I2C_sample も少し手を入れた。

以前は、各 I2C デバイス毎にプロジェクトを作成していたが、I2C_sample に統合するようにした。

現在サポートしている I2C デバイスは:

I2C デバイス メーカー 機能
AS5600 ams 12bits 磁気エンコーダ
BMP280 Bosch Sensotec 温度、圧力センサ
DS3231 Maxim Integrated リアルタイムクロック
EEPROM[0-7] Micro Chip EEPROM

※これから順次追加する予定。

I2C マスターコマンド

コマンド 機能
list 対応デバイスの表示
scan [start=0] [end=127] 接続I2Cされた I2C デバイスのスキャン
exec I2C-name list 表示されたデバイス操作を起動
adr [X] I2C アドレスを設定
r [num=1] デバイスから num バイトを表示
s data... デバイスにデータを書き込む

※exec で起動した場合、exit で戻る。

BMP280 コマンド

コマンド 機能
list 温度、圧力、標高を表示

DS3231 コマンド

コマンド 機能
date 日付、時間の表示
date yyyy/mm/dd hh:mm[:ss] 日付、時間の設定

EEPROM コマンド

コマンド 機能
read ORG [END=+16] EEPROM からデータを読み込み表示
write ORG DATA... EEPROM へデータ書き込み

AS5600 コマンド

コマンド 機能
list 磁気検出、回転位置表示
run 連続的に回転位置など表示(CTRL-Cで抜ける)

まとめ

やはり、表面実装部品をハンダ付けするのは無理がある・・

かと言って、ステンシルを使ってハンダペーストとかを塗り、全体を焼くのも、1枚とかだと、逆に大変そうだ・・

YouTube のノートPCなどの修理動画を観ていると、ホットブロアーで、QFN などのハンダ付けを行っていた。
それを見て、ああなるほどと思ったー、今後、機器を揃えて、この方法を試してみたいと思った。

RXマイコン、選択型割り込み設定不具合とテンプレート化

DMA転送要因でMTUを指定すると、おかしな挙動をする・・

以前、DACストリームで、DMACの起動要因として、TPUを使っていた。
※分周器の設定が細かい方が良いので。

しかし、RX66T、RX72TにはTPUが無いので、どのデバイスでもあるMTUを使うように修正した。
※TMRを16ビットで使う事も考えたが、TMRは、DTCの起動には使えるが、DMACには使えない事が判り断念・・
※TMRを16ビットで使い、インターバルタイマーとして使う実装は行った。

まず、MTUで、インターバルタイマーだけ機能するような実装を行い、RX72Nで実験した。
ちゃんと動作する事を確認。

次に、PSG音楽再生を行おうと、RX64Mで実験・・、動作しない・・・

かなり時間を使い、原因が「power_mgr クラス」でMTUを定義していない事が原因だった・・・

そこで、power_mgr クラスを全デバイスで全て保守。


TPUを使うと動作する・・・

ここで、MTU関係クラスで、色々マズイ部分を修正。

色々修正したが、正常に動作しない・・・

良く調べると、DACストリームでは、MTUのインターバル設定を初期化時に、二度呼ぶような仕様だった。

RX64MのMTU割り込みは選択型Bとなっている、二度呼ぶと、選択型テーブルにMTUの割り込み要因が二か所設定されてしまうのが原因だった。
※TPUでは、これを避けていた。

しかし、良く精査すると、選択型割り込み設定に問題がある事が判り、修正。

選択型割り込み設定をテンプレート化する。

選択型割り込み設定は、RX24T以外、全てのデバイスに存在する。

同じコードをコピーするのも、保守の点で問題なので、テンプレート化して、共有出来るように実装した。

        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  選択型割り込みA設定テンプレート
            @param[in]  ICU         ICU クラス
            @param[in]  VEC_TYPE    割り込み要因型
            @param[in]  TASK_TYPE   タスクタイプ
            @param[in]  sel         割り込み要因
            @param[in]  task        割り込みタスク
            @param[in]  lvl         割り込みレベル
            @return 成功なら「true」
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        template <class ICU, typename VEC_TYPE, typename TASK_TYPE, uint16_t org, uint16_t end>
        static typename ICU::VECTOR set_interruptSELA(VEC_TYPE sel, TASK_TYPE task, uint8_t lvl) noexcept
        {
            // sel 要因があれば消す。
            for(uint16_t i = org; i < (end + 1); ++i) {
                auto idx = static_cast<typename ICU::VECTOR>(i);
                if(ICU::SLIAR[idx] == sel) {
                    ICU::IER.enable(idx, 0);
                    set_interrupt_task(nullptr, i);
                    ICU::IPR[idx] = 0;
                    ICU::SLIAR[idx] = VEC_TYPE::NONE;
                    ICU::IR[idx] = 0;
                }
            }
            if(lvl == 0 || task == nullptr) return ICU::VECTOR::NONE;

            for(uint16_t i = org; i < (end + 1); ++i) {
                auto idx = static_cast<typename ICU::VECTOR>(i);
                if(ICU::SLIAR[idx] == VEC_TYPE::NONE) {
                    ICU::IER.enable(idx, 0);
                    set_interrupt_task(task, i);
                    ICU::IPR[idx] = lvl;
                    ICU::SLIAR[idx] = sel;
                    ICU::IR[idx] = 0;
                    ICU::IER.enable(idx, 1);
                    return idx;
                }
            }

            return ICU::VECTOR::NONE;
        }

呼び出し側:

        //-----------------------------------------------------------------//
        /*!
            @brief  割り込み設定(選択Aベクター)
            @param[in]  sel     割り込み要因
            @param[in]  task    割り込みタスク
            @param[in]  lvl 割り込みレベル(0の場合、割り込み禁止)
            @return 成功なら「true」
        */
        //-----------------------------------------------------------------//
        static ICU::VECTOR set_interrupt(ICU::VECTOR_SELA sel, utils::TASK task, uint8_t lvl) noexcept
        {
            return icu_utils::set_interruptSELA<ICU, ICU::VECTOR_SELA, utils::TASK, 208, 255>(sel, task, lvl);
        }

※、テンプレートの実装は、イマイチの部分があるのだが、自分のスキルにとって何とか理解出来る範疇に収めてある。
それにしても、テンプレートは難しくて面白い、でも、余裕のある時にしか出来ないw


C言語を使い続ける理由はあるのか?

今回の件とは直接関係無いが、とある掲示板で、RXマイコンのUART(SCI)の設定に関しての質問があった・・

IDEの機能で、ソースコードを出力するもので、そのAPIを使う為の事柄のようだー

そこで、思ったのは、シリアル通信を行うだけなのに、多くの手順を行い、ドキュメントを詳細に読む必要があるのだった・・

プログラム生成で思い付く問題点:

  • プログラムで生成する事で、自分が一部のコードを改修したら再度生成した時にマージが難しくなる。
  • 後に保守する場合に備えて、生成したプログラムのバージョンや手順を全て記録しておく必要がある。
  • シリアルのチャネルを変更したら、関数のプロトタイプが変わり、多くの変更を余儀なくされる。
  • 生成プログラムのコードはブラックボックスで公開されていない為、何かの不具合に即座に対応出来ない。
  • プログラム生成が初めての人に対して、簡単とは言えない。

自分の C++ フレームワークでは、シリアル通信の手順は、これ以上簡単に出来ないくらいにはしてある。

※プログラムで生成しないので、自由に変えられ、コンパイルをやり直すだけ。
※このような柔軟性は、C 言語で実装するのは難しいと思える。

  • 利用するシリアルチャネルを決める。
  • 利用するシリアルポートを決める。
  • 受信、送信バッファのサイズを決める
  • ボーレート、シリアル通信フォーマットを決める。
  • 割り込みレベルを決定する。(ポーリングでも機能する)
    typedef utils::fixed_fifo<char, 512> RXB;  // RX (受信) バッファの定義
    typedef utils::fixed_fifo<char, 256> TXB;  // TX (送信) バッファの定義

    typedef device::sci_io<SCI_CH, RXB, TXB> SCI;
// SCI ポートの第二候補を選択する場合
//  typedef device::sci_io<SCI_CH, RXB, TXB, device::port_map::ORDER::SECOND> SCI;
    SCI     sci_;
  • SCI_CH には利用するシリアルチャネルをtypedefする。(直で書いても構わない)
    typedef device::SCI2 SCI_CH;

利用するポートは、port_map クラスにより決定され、候補を選択出来るようになっている。

たとえば、候補2を使う場合:

    typedef device::sci_io<SCI_CH, RXB, TXB, device::port_map::ORDER::SECOND> SCI;

とする。

候補と、シリアルポートの関係は、port_map を観れば、判るようになっている。

あとは、開始するだけ:

    {  // SCI の開始
        uint8_t intr = 2;        // 割り込みレベル(0を指定すると、ポーリング動作になる)
        uint32_t baud = 115200;  // ボーレート(任意の整数値を指定可能)
        sci_.start(baud, intr);  // 標準では、8ビット、1ストップビットを選択
// 通信プロトコルを設定する場合は、通信プロトコルのタイプを指定する事が出来る。
// sci_io.hpp PROTOCOL enum class のタイプを参照
//      sci_.start(baud, intr, SCI::PROTOCOL::B8_E_1S);
    }

これで、文字を、送ったり、受けたりが簡単に出来る。

A を送る:

    sci_.putch('A');

文字を受け取る:

    auto ch = sci_.getch();

printf で使いたければ、C の関数として、文字の入出力を extern 宣言する。
※この場合、「syscalls.c」をコンパイル、リンクする必要がある。
※ C++ では、printf を使う理由は無いので、utils::format を使う。

extern "C" {

    // syscalls.c から呼ばれる、標準出力(stdout, stderr)
    void sci_putch(char ch)
    {
        sci_.putch(ch);
    }

    void sci_puts(const char* str)
    {
        sci_.puts(str);
    }

    // syscalls.c から呼ばれる、標準入力(stdin)
    char sci_getch(void)
    {
        return sci_.getch();
    }

    uint16_t sci_length()
    {
        return sci_.recv_length();
    }
}

シリアルフォーマットを変更したい場合:

        //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
        /*!
            @brief  SCI 通信プロトコル型
        */
        //+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++//
        enum class PROTOCOL {
            B8_N_1S,    ///< 8 ビット、No-Parity、 1 Stop Bit
            B8_E_1S,    ///< 8 ビット、Even(偶数)、1 Stop Bit
            B8_O_1S,    ///< 8 ビット、Odd (奇数)、1 Stop Bit
            B8_N_2S,    ///< 8 ビット、No-Parity、 2 Stop Bits
            B8_E_2S,    ///< 8 ビット、Even(偶数)、2 Stop Bits
            B8_O_2S,    ///< 8 ビット、Odd (奇数)、2 Stop Bits
        };

※現在、以上のフォーマットをサポートしている(7ビットは使わないだろうから、サポートしていない)

8ビット、1ストップビット、偶数パリティの場合:

    {
        uint8_t intr = 2;        // 割り込みレベル(0を指定すると、ポーリング動作になる)
        uint32_t baud = 115200;  // ボーレート(任意の整数値を指定可能)
        sci_.start(baud, intr, SCI::PROTOCOL::B8_E_1S);
    }

設定されたボーレートと、実際に設定されたボーレートの誤差を知りたい場合:

        utils::format("SCI PCLK: %u\n") % SCI_CH::PCLK;
        utils::format("SCI Baud rate (set):  %u\n") % sci_.get_baud_rate();
        float rate = 1.0f - static_cast<float>(sci_.get_baud_rate()) / sci_.get_baud_rate(true);
        rate *= 100.0f;
        utils::format("SCI Baud rate (real): %u (%3.2f [%%])\n") % sci_.get_baud_rate(true) % rate;

同じコードは、RX24T、RX64M、RX65N、RX66T、RX72T、RX72N などでおなじように使える。

途中で、SCI2 では、無く、SCI1 に変更したい場合は・・

    typedef device::SCI1 SCI_CH;

とすれば良く、合わせて、ポートのマッピングを吟味する。

また、SCI1、SCI2、SCI3 などを同時に使う場合であっても、同じように定義とリソースを用意するだけとなっている。

さらに、C++ では、ソースコード(実装)とヘッダー(定義)を別ける必要性が無い為、「common/sci_io.hpp」をインクルードするだけで、
他の設定は必要無い。
※printf を使う為、syscalls.c をリンクする必要はあるが、これは、C に起因している為、省けない・・


質問者は、RX231 だったので、サポートしていないが、要望があれば、RX231 をサポートする準備はある。
※GitHub のスポンサーになる必要があるけど・・
※RX231 が載ったボードを用意して送ってもらう必要がある・・

良く言われる事が、C++ は難しいので、勧められないと言うのがある・・

しかし、多くの初心者が、Arduino を利用していると思う、自分のフレームワークでは、テンプレートを多く使っており、Arduino よりハードルは高いかもしれないが、サンプルも多くあり、真似るだけなら、そんなにハードルは高く無いと思うのだが・・・