LCDに表示するプログラムを実装するようになって、何か、正しく動かない事
が、頻発してきた。
※実際は、以前から、あったのだが、何かの拍子に直ったりする為、原因を究明
出来ないでいた。
よくよく調べると、最適化オプション「-Os」を使う場合に、起こる事がある事が
判った。
-O1、-O2 では発生しない為、とりあえず、-O2 を使っていたのだが、プログラム
の容量が増してくると、そうもいかなくなってくる。
そこで、コードを簡単に追ってみると、スタック領域に配置された変数にアクセス
する場合に、スタックのアドレス計算を間違っているような挙動だった。
これは、コンパイラの問題のように思うが、RL78のコード生成部分を追って、
修正するには、スキルと時間が足りないように思う。
それと、コンパイラのバグと思っていた事が、実際には、実装の問題である事は、
良くある話でもある。
そこで、回避策を色々試してみた結果、コンパイラオプション「-flto」を追加す
る事で回避出来ているように思う。
詳細に調べた結果、RAMの初期状態に依存していただけだった。
通常「.bss」セクションは「0」クリアするが、「.data」セクションは、何かの
値をロードするので、そのままな状態になっている、これが、問題のようで、
ロードしない場所は「0」クリアする必要がある。
そこで、リセット時、全てのRAMを全て「0」クリアするコードを追加した。
;; clear all RAM sel rb0 ; bank 0 movw hl, #__datastart LC0: movw ax, #0 movw [hl], ax incw hl incw hl movw ax, hl cmpw ax, #__stack bnz $LC0
※レジスタ・バンクは触らない。
この変更で、怪しい挙動は、無くなったようではある。
ただ、コンパイラを作りなおす必要がある。
コンパイラは作り直さなくても大丈夫と判った、でも、4.9.4 の方が、ほんの
少しは、最適化が良いのかもしれないので、4.9.4 にするのはやぶさかでは無い。
※最近、gcc-4.9.3 から、gcc-4.9.4 に移ったので、その過程で、ビルドオプシ
ョンを精査した。
--enable-multilib --enable-lto
を追加する。
※「multilib」は以前は「disable」であったが一応「enable」とした。
「-flto」は、LTO(Link Time Optimization)を有効にするオプションで、これによ
り翻訳単位を超えた最適化が可能になる。
これは、gcc-4.8.x から、追加された機能のようだが、RL78 と、gcc-4.9.4 の場
合は、常に「有効」にする必要があるのかもしれない。
※指定しないと、「有効」になっているようである。
とりあえず、現状で、これで回避できているようではある・・・